2024年06月23日
さよなら、野外温泉講座
「おお~、やっと来た!」
郵便受けに入っていた青い封筒を手にして、僕は喜びました。
差出人は、NHK文化センターです。
僕は平成21(2009)年4月から、NHK文化センター前橋教室が主催する 「野外温泉講座」 の講師をしています。
この講座は毎月1回、JR前橋駅と高崎駅からバスを出して、県内外の温泉地をめぐるというもの。
僕は水先案内人としてバスに添乗して、道中と温泉地で温泉の講義をしていました。
ところが、4年前!
令和2年1月の講座を最後に、突然、休講してしまいました。
原因は、新型コロナウイルスの感染拡大です。
この4年の間、ときどきセンターの担当者からは連絡をいただいていました。
「先生、お元気ですか? 今年は無理ですが来年度の開講に向けて準備を進めています」
そのたびに僕の脳裏には、最後に担当した受講生たちの顔が浮かびました。
「みんな、元気だろうか? 早く会いたいなぁ~」 と……。
こんなこともありました。
コロナ禍のこと。
前橋市内の公民館で、僕の講演会が開催されました。
その時、開演前の控え室に、一人の婦人が訪ねてきました。
「せんせ~い、お久しぶりです。覚えていますか?」
その声、忘れるわけがありません。
野外温泉講座の受講生、Kさんです。
「先生、来年は開講しますよね!?」
でも、その時、僕は断言することはできませんでした。
「だいぶコロナも下火になってきたからね。たぶん来年は大丈夫でしょう」
「ですよね、みんな、また先生と一緒に温泉をまわりたいって言ってますよ!」
昨年の夏のことでした。
そして今年、コロナが5類に引き下げられました。
ということは来年度は、いよいよ待ちに待った講座の再開だ~!
僕は、はやる気持ちを抑えきれずに、玄関先で封筒を開けました。
<講師の皆様>
と印字されていたプリントが出てきました。
署名は、(株)NHK文化センターの社長名です。
あれ? なんかヘンだな?
講座の再開ならば前橋教室の担当者からのはずなのに、本社から直々とは……
えっ、もしかして!
と思った瞬間、次の1行が目に飛び込んできました。
<前橋教室9月末終了のお知らせ>
そして、こう書かれていました。
<コロナ以降、受講者減少に歯止めがかからず、経費削減も続けて参りましたが、昨今の厳しい状況に対し課題も多く、これ以上の運営継続は困難との判断に至った次第です。つきましては、2024年9月末をもって前橋教室は閉鎖することになりました。>
ガーーーーーーーン!!!!
コロナ禍では、どの業界、どの職業でも、何らかのあおりを受けていたと思います。
僕もそうでした。
野外講座にとどまらず、取材が伴う連載が終了したり、その他の講演活動も軒並み中止となりました。
でも、この野外講座だけはコロナが終息したら、また再開するものだと思い込んでいました。
それだけに、ショックを隠し切れません。
でも今は、ただただ感謝しかありません。
11年間にわたり、つたない僕の講座を根気よく開講してくださった前橋教室のスタッフのみなさん、大変お世話になりました。
また、何百人という歴代の受講生のみなさん、ありがとうございました。
そして、平成20年度の受講生のみなさん、とっても残念ですが、1月の上牧温泉(みなかみ町)が最後となってしまいましたね。
みんな、元気でいてくださいね。
元気でいれば、またいつか必ず、お会いすることができます。
また会いましょう!
Posted by 小暮 淳 at 13:09│Comments(0)
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