2010年05月09日
母の日と 『梅壽記』
今日は一日、お袋が出かけるというので、朝から実家へ行き、親父のお守りをしてきました。
御歳85歳、口は達者ですが同じことしかしゃべりません。記憶も古いことは忘れませんが、1時間前のことは覚えていません。要は、痴呆老人のビギナークラスです。
お袋が居なければ、何にもできないのですから、そのお袋が一日家を空けるとなれば、事は重大です。
午前中は散歩。杖をついてヨボヨボと歩く親父の手を取って、本屋まで。ボケ防止の漢字パズル本を買ってやりました。
帰りはコンビニに寄って、そばを買い、家に戻って親子で昼食をとりました。
なんだか小さい子供の面倒をみているようで、時々、親父が可愛く思えるから不思議です。
腹が満たされた親父は、「寝る」と言って2階へこもりました。
お袋が帰る夕方まで、たっぷりと時間があります。こんなこともあろうかと、読みかけの本を持ってきました。
『梅壽記』、鎌田温泉「梅田屋旅館」の2代目女将、星野志かさんの自叙伝です。志かさんは明治34年生まれ。同44年創業の梅田屋旅館を明治・大正・昭和・平成と守り続けてきた一代記です。波乱万丈の生き様は、読み応え十分でした。
どうして4代目女将の星野由紀枝さんが、この本を僕にくださったのか、理由がわかりました。老舗旅館は“一日にして成らず”ということですね。
本の中で、古希を迎えた志かさんが、唐の詩人・杜甫が詠んだ『人生七十古来稀(こらいまれなり)』という言葉を引用していました。昔は、70歳まで生きるのは稀だったのですね。
本を読み切って2階へ行ってみると、親父が起きていて、本を読んでいます。そしていきなり、
「人生七十古来稀なりか、昔は珍しかったんだな。長生きするのが……」と、独りごちたのです。これには、ビックリしました。
親子で別々の本を読みながら、同じ言葉に出会っていたなんて。不思議なことが、あるものです。
夕方、お袋が帰ってきて「おとうさん、どうだった?」というものだから、「大変、いい子にしてましたよ」と報告。
「母の日プレゼントは、今日一日の親父の子守りでいいやいね」と僕。するとお袋は、「最高のプレゼントですね」と大喜びでした。
老々介護から解放された一日、楽しかったのでしょうね。親父とお袋、両方いっぺんに親孝行をした一日でした。
ま、こんな日もありですね。
御歳85歳、口は達者ですが同じことしかしゃべりません。記憶も古いことは忘れませんが、1時間前のことは覚えていません。要は、痴呆老人のビギナークラスです。
お袋が居なければ、何にもできないのですから、そのお袋が一日家を空けるとなれば、事は重大です。
午前中は散歩。杖をついてヨボヨボと歩く親父の手を取って、本屋まで。ボケ防止の漢字パズル本を買ってやりました。
帰りはコンビニに寄って、そばを買い、家に戻って親子で昼食をとりました。
なんだか小さい子供の面倒をみているようで、時々、親父が可愛く思えるから不思議です。
腹が満たされた親父は、「寝る」と言って2階へこもりました。
お袋が帰る夕方まで、たっぷりと時間があります。こんなこともあろうかと、読みかけの本を持ってきました。
『梅壽記』、鎌田温泉「梅田屋旅館」の2代目女将、星野志かさんの自叙伝です。志かさんは明治34年生まれ。同44年創業の梅田屋旅館を明治・大正・昭和・平成と守り続けてきた一代記です。波乱万丈の生き様は、読み応え十分でした。
どうして4代目女将の星野由紀枝さんが、この本を僕にくださったのか、理由がわかりました。老舗旅館は“一日にして成らず”ということですね。
本の中で、古希を迎えた志かさんが、唐の詩人・杜甫が詠んだ『人生七十古来稀(こらいまれなり)』という言葉を引用していました。昔は、70歳まで生きるのは稀だったのですね。
本を読み切って2階へ行ってみると、親父が起きていて、本を読んでいます。そしていきなり、
「人生七十古来稀なりか、昔は珍しかったんだな。長生きするのが……」と、独りごちたのです。これには、ビックリしました。
親子で別々の本を読みながら、同じ言葉に出会っていたなんて。不思議なことが、あるものです。
夕方、お袋が帰ってきて「おとうさん、どうだった?」というものだから、「大変、いい子にしてましたよ」と報告。
「母の日プレゼントは、今日一日の親父の子守りでいいやいね」と僕。するとお袋は、「最高のプレゼントですね」と大喜びでした。
老々介護から解放された一日、楽しかったのでしょうね。親父とお袋、両方いっぺんに親孝行をした一日でした。
ま、こんな日もありですね。
Posted by 小暮 淳 at 18:35│Comments(0)
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