2011年04月22日
もう1つの泉質
「小暮さんは、温泉に入っただけで、何という泉質か分かってしまうんですか?」
そんなことを訊かれることがあります。
が、そんなことはありません。
まあ、腐卵臭がするから硫黄泉とか、なめると塩辛いから塩化物泉とか、きわめて特長のあるものは別として、残念ながら“入るだけで”というレベルには達していないんですね(TVチャンピオンの郡司勇さんなら可能でしょう)。
僕の場合はもう少し、観察します。
湯口に付着した析出物を触ってみたり、浮遊物や沈殿物をすくってみたり。
カルシウムが多いとか、マグネシウムが多いとか、その程度の観察ですけどね。
ただ、1つだけ、入浴しただけで、てきめんに分かってしまう温泉があるんです。
それは、“塩素泉” です。
えっ、そんな泉質の温泉ってあるんですか?って
はい、ありません。
言葉を作ってしまいました。
でも分かりますよね。塩素消毒された温泉のことです。
きっと、みなさんも感じたことがあるはずです。
日帰り入浴施設の大浴場へ入ると、プ~ンとカルキ臭い、プールのようなにおいを感じたことが。
まあ、あれほど、あからさまに塩素をぶち込んでいれば、誰でも分かりますよね。
においがした時点で、アウトです。
“においがする”ということは、かなりの高濃度の塩素が含まれている証拠ですから、ぜひ、湯上りにはシャワーを浴びてください。
塩素は紫外線と同じ、人間の肌にとっては、老化促進剤になってしまいます。
(水道水に一度浸かっただけでも、約15万個の皮膚細胞が死ぬといわれてます)
特にアレルギー体質の人は、入浴を避けたほうがいいでしょうね。
実は、僕の肌は、もっと敏感なのです。
以前、温泉講座で、「肌が弱い」ということを話したところ、受講生の1人から「よく先生は、それで温泉ライターをやっていられますねぇ」と言われたことがありました。
確かに、おっしゃるとおりです。
僕のまわりにも、肌が弱くて、美容師やケーキ屋、そば屋の夢を断念した人がいます。
この人たちにとって、アレルギー体質は致命傷のようですが、僕にとっては、これがとても役立っているのです。
いわば、良い温泉を見分ける “リトマス試験紙” になっているんですね。
一見、無味無臭のきれいな温泉に見えても、僕の体は、すぐに反応します。
途端に、体中が、かゆくなってしまうんです。
どんなに微量の塩素でも、反応します。
「今日の湯は、大丈夫ですか?」
僕をよく知っているカメラマンは、撮影の途中で、必ず、そう訊きます。
「いや、やばいね」と答えると、
「では、早めに撮影を切り上げましょう」
と心得ているのです。
最近は、山のいで湯にも “塩素泉” は登場しています。
もったいない話です。
せっかく、こんなに良い湯が出ているのに、浴槽を大きくしたがゆえに、塩素消毒をせねばならないなんて……
そう思うことがあります。
“いい温泉は、湯舟が小さい!”
これが僕の持論です。
Posted by 小暮 淳 at 17:09│Comments(2)
│温泉雑話
この記事へのコメント
同感です。いい温泉は、湯船が小さい ≒黄金比率
放射能を含んだ雨が、いつしか地下に入り温泉として湧く数十年後に、また被爆の影響がよみがえったら怖いのですが、そんなことがないといいですね。
いい形の放射能泉としてなら歓迎なところですが。
放射能を含んだ雨が、いつしか地下に入り温泉として湧く数十年後に、また被爆の影響がよみがえったら怖いのですが、そんなことがないといいですね。
いい形の放射能泉としてなら歓迎なところですが。
Posted by ぴー at 2011年04月22日 22:22
ぴーさんへ
それと、いい温泉には、湯もみ板が置いてあります。
湯の温度調節を客にやらせる宿こそ、湯守の心意気を感じます。
それと、いい温泉には、湯もみ板が置いてあります。
湯の温度調節を客にやらせる宿こそ、湯守の心意気を感じます。
Posted by 小暮 at 2011年04月23日 20:27