2011年12月05日
猿ヶ京温泉 「野の花畑」
“知っているようで知らない
聞いたことはあるけど行ったことはない”
これは、拙著 『群馬の小さな温泉』 の宣伝コピーです。
まさに群馬の温泉は奥が深くて、温泉ライターをやっていても、まだまだ知らない温泉や宿がたくさんあるものです。
群馬県内には、約600軒の温泉宿があるらしいのですが、お恥ずかしい話、まだ半分も回れていない気がします。
先日、猿ヶ京温泉の 「野の花畑」 を初めて訪ねました。
「野の花畑」
なんとも乙女チックな旅館名ですが、10年前に改名する前は 「蔵やしき」 という名前でした。
名前どおりの重厚な蔵を改造して建てられた旅館です。
玄関を入ると、ロビーが米蔵。
廊下をはさんだ隣には、養蚕蔵を使用したカラオケルーム。
裏庭には、200年以上前から先祖代々使用している味噌蔵があり、こちらは従来の使用目的のまま、味噌の貯蔵樽や野菜の漬け込み樽が所狭しと置かれていました。
旅館に隣接する茅葺き屋根の古民家が、「おやすみ処」として開放されているというので、覗いてみると、囲炉裏端でご主人の林具公(ともまさ)さんが、炭火をおこしていました。
「ここは俺が生まれて育った家なんだよ」
そう言って、屋敷内を案内してくれました。
馬屋のあとは、炊事場となり、現在はうどんやそばをご主人が打っているそうです。
急な階段を上ると、そこは昔、お蚕様の部屋だったところ。
その広さから想像するに、かなりの豪農だったようです。
天井の茅や竹は、もうもうと上がる煙に燻(いぶ)されて、テカテカに黒光りしています。
「茅葺きは一年中燻してやらなきゃならねーんだけど、最近の人は、この煙がダメだって言って、家ん中に入ってこねーんだよね」
と言って、炭火の様子を時々うかがう、ご主人。
なんと、この炭も、ご主人が焼いているのです。
それも、旅館の隣で!
と、いうことで、敷地内の炭焼き小屋も見学しました。
土で囲った窯の中の炭は、火を落としてから10日間も燻しているのだそうです。
10日に一度、有志が集まり、前の炭を取り出し、新しい炭を焼きながら、窯のまわりで酒盛りをするのが楽しいのだとか。
数日前に炭を焼いたようで、確かに小屋の中には、一升瓶とつまみ類がそのまま転がっていました。
「こりぁあ、楽しそうですね」と僕。
「楽しいよ。そうだ、今度、小暮さんも来(き)なよ!」
と、ご主人言われれば、行かないわけがないじゃありませんか。
自分で焼いた炭で、古民家の囲炉裏で火をおこし、鍋を囲みなから酒を飲む!
もう、想像しただけで、ワクワクしてきます。
林さん、必ず行きますから、その時は “どぶろく” をご馳走してくださいね。
Posted by 小暮 淳 at 18:33│Comments(0)
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