2012年09月03日
北軽井沢温泉 「御宿 地蔵川」②
“宿の数だけ 物語がある”
この言葉は、今月15日に出版される僕の新刊 『みなかみ18湯 〔上〕』(上毛新聞社・刊) の帯に書かれているコピーです。
実は、僕がフリーのライターになった理由も、ここにあります。
編集者のままでは、どうしても温泉地の旅館を、ガイドブック以上の記事として表現することが不可能だったのです。
旅館の設備や料理、サービスの紹介記事ではなく、その温泉地の歴史や湯を守り継いできた人々の話を書きたい!
それには、編集者として組織の中にいては書けないと思ったのです。
だからフリーのライターとして、時間に制約されずに、何度でも宿に通い、自分の納得行く文章が書ける人生(みち)を選びました。
このことは、間違っていなかったと、今、実感しています。
と、いうことで、今日も今日とて、足しげく温泉旅館を訪ねてきました。
北軽井沢温泉の一軒宿、「御宿(おやど) 地蔵川」 です。
僕が最初に北軽井沢温泉を訪ねたのは、今から7年前のこと。
雑誌の取材で、泊まりました。
そのとき話を聞いたのは、先代主人の土屋勝英さんでした。
そして宿名もまだ、「地蔵川ホテル」 でした。
3年前、本の取材で訪れたときは、3代目主人の土屋基樹さんに話を聞きました。
そのときは、玄関ロビーも客室も、すっかりリニューアルされていて、宿名も 「御宿 地蔵川」 と改名されていました。
そして今年の7月には、僕が講師を務める野外温泉講座で受講生らと訪ね、またまた今日は、新聞社の依頼取材で行ってきました。
勘の良い読者なら、もうお分かりですね。
そうです、朝日新聞に連載中の 『湯守の女房』 の取材です。
と、いうことで、今回は女将の土屋幸恵さんと、大女将の民子さんに、じっくりとお話を伺ってきましたよ。
温泉旅館というのは面白いもので、男目線(主人)で語られる話と、女目線(女将)で語られる話では、同じ旅館でも、だいぶイメージは違うものです。
男の苦労と女の苦労の違い・・・
湯への思いと客への思い・・・
旅館のこだわりは機微にいたるまで、その代、その人ごとに異なり、話を聞けば聞くほどに、奥深い味わいがあるものです。
やっぱり、宿の数だけ、人の数だけ、物語があるんですね。
Posted by 小暮 淳 at 20:56│Comments(0)
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