2012年11月29日
沢渡温泉 「まるほん旅館」⑤
今さら行かなくても、記事は書けるんですけどね。
でも、僕の私訓が “現場百遍” である限り、「見ずに」「聞かずに」原稿を書くわけにはいきません。
と、いうことで、高速道路をすっ飛ばし、国道353号をひた走り、沢渡温泉の勝手知ったる 「まるほん旅館」 まで行ってきました。
サトボウこと、16代目主人の福田智さんと “湯浴み対談” をするためにです。
「最近は、めっきり訪問取材は減りましたよ。以前なら必ずライターとカメラマンの2名、多いときは編集者も同行して3名で来ましたものね。今は電話取材で済ませて、写真はメールで送ってくれっていうパターンがほとんどですよ」
でしょうね。
僕が編集長なら、このご時世に交通費を使わせてまでライターとカメラマンを現地へ飛ばしませんって。
ま、それがイヤだったから、僕はフリーのライターになったんですけどね。
「群馬県内じゃ、小暮さんほど温泉地を回っている人はいないでしょう?」
「ええ、たぶん……、おかげさまで今日の取材で、今年105カ所目の温泉になります」
そんな雑談を交わした後、僕とサトボウとカメラマンは、大浴場へと向かいました。
別の名を 「ひのき張り湯小屋風呂」 といいます。
今年の3月、『おとな日和』(パリッシュ出版) という雑誌で、温泉愛好家の山田べにこさんと対談した際に、僕が “群馬の温泉ベスト1” に選んだ近代温泉遺産とも呼ぶべき、湯殿であります。
何がいいかって、キシキシと音を立て鳴る木造の渡り廊下を歩いて、いきなり2階から浴室へ下りるという大胆不敵な建築様式です。
初めての人は、必ずや度肝を抜かれます。
脱衣場は、無し。
男も女も湯舟の脇の棚で衣服を脱いで入る、完全混浴風呂です。
で、この湯舟に入って、2人で仲良く対談をしましょう!
という企画なのであります。
まー、僕も話好きですが、サトボウも負けず劣らずのおしゃべりですから、2人が話し出したら止まりません。
身ぶり手ぶりで話す2人ですから、カメラマンは大喜びでシャツターを切っていました。
でも時々、「すみませ~ん、股を閉じてもらえますか! すぐに開いてしまうものですから」 と注意が入ります。
話に夢中になるがあまり、ついついガードがゆるくなって、股間が開いてしまうのです。
それもこれも、僕の絶対にゆずれない “こだわり” のせいなのであります。
<たとえ撮影でも、タオルを湯舟に入れない>
それゆえ、毎回、毎度、僕と組むカメラマンには苦労をおかけしています。
股間が写らない工夫って、大変なんですよ。
「はい、オーケーです」
の声と同時に、湯舟から飛び出して、床に転がりました。
だって、撮影していた浴槽は、2つあるうちの熱いほうだったのです。
たぶん42~3度だと思いますが、それでも、ぬる湯派の僕にとっては、かなり熱く感じられましたよ。
さすがサトボウは、毎日入っているだけあり、涼しい顔をしています。
「どうぞ、ゆっくり入っていてください。私は戻っていますから」
と服を着て、階段を上がって行ってしまいました。
やっぱ、現場百遍ですな。
もう、何十回と訪れていますが、それでも知らない話が聞き出せましたよ。
また人間は、お互い裸になると、気を許し合うものなんでしょうね。
とっても、いい、納得のいく取材でした。
福田さん、ありがとうございました。
※この対談の様子は、来年新春1月9日の朝日新聞群馬版に掲載予定です。
Posted by 小暮 淳 at 20:40│Comments(2)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
現場百篇
現在、一番省かれている環境ですね
いつもいろんな情報をありがとうございます。
湯守の女房、ブログetc… の記事を読んでいて感じます。
日頃聞くことのできない方の、生い立ちや経歴、苦労話しなどが知ることがでします。
一段と寒さが厳しいじきになり、気をつけて取材してくださいね。
姑にばかにされる都合上(笑)、様々な風邪対策をしてまーーす。
現在、一番省かれている環境ですね
いつもいろんな情報をありがとうございます。
湯守の女房、ブログetc… の記事を読んでいて感じます。
日頃聞くことのできない方の、生い立ちや経歴、苦労話しなどが知ることがでします。
一段と寒さが厳しいじきになり、気をつけて取材してくださいね。
姑にばかにされる都合上(笑)、様々な風邪対策をしてまーーす。
Posted by ぴー at 2012年12月01日 11:16
ぴーさんへ
こちらこそ、いつも読んでいただきありがとうございます。
読者あっての、ライターです。
読者がいるかぎり、東奔西走しながら “現場百篇” の私訓を貫き通しますぞ!
でも、最近、寄る年波に勝てないときが、あるのよねぇ~・・・(辛)
こちらこそ、いつも読んでいただきありがとうございます。
読者あっての、ライターです。
読者がいるかぎり、東奔西走しながら “現場百篇” の私訓を貫き通しますぞ!
でも、最近、寄る年波に勝てないときが、あるのよねぇ~・・・(辛)
Posted by 小暮 at 2012年12月01日 16:58