2013年03月04日
75分の78
先週、みなかみ町にある18温泉地の全75軒(みなかみ町観光協会加入旅館) を “湯破” したと書きました。
しかし正しくは、昨秋出版した 『みなかみ18湯』 の上巻と今春出版する下巻に掲載される温泉宿の総数が75軒ということで、実際には、それ以上の温泉宿を取材しています。
では、なぜ75軒なのか?
実は、78軒の宿を取材したのですが、3軒は発売までに事情により “削除” されたのです。
その理由とは・・・
現在、出版されている上巻には、34軒の宿が紹介されています。
当初の予定では、36軒が掲載されるはずでした。
僕も36軒の宿を取材して、その数だけの原稿を書き上げて、出版元へ送りました。
ところが!
印刷に入る段階になって、急きょ2軒が掲載不可となってしまいました。
取材後、廃業して売られてしまったのです。
現在は、2軒とも経営者が変わり、宿名も改名され旅館としての営業を再開しています。
まったくもって、先の分からない世の中です。
「本ができるまで、うちも潰れないように頑張らなくちゃね」
と、今回も不景気にグチをこぼす経営者は、大勢いました。
それほどに、温泉地の現状は悪化しています。
だからこそ、僕はこうやって、手弁当同然の待遇でも、温泉地へ通い続けて、本を作り上げようとしているのです。
何が何でも、群馬の温泉を守りたい。
歴史と文化のある温泉を後世に残したい。
その一心で、温泉シリーズの本を書き続けています。
どうか、温泉宿の経営者のみなさん!
応援しますので、頑張ってくださいね。
掲載されなかった、あと1軒は、下巻の取材中に発覚しました。
なにが、発覚したのか?
その前に、「温泉」 の定義について話さなくてはなりません。
僕が温泉を取材する場合、“温泉法による温泉”の定義は適用しません。
“スポイト温泉” という言葉をご存知ですか?
温泉法には、希釈(きしゃく) に対する定義がありませんから、源泉を何十倍、何百倍、何千倍に水で薄めても 「温泉」 と認めています。
“スポイト温泉” とは、この法律を逆手にとって、水を張った浴槽にスポイトで一滴だけ源泉をたらしても 「温泉」 として提供しているような温泉施設に対して、揶揄(やゆ) した言葉なのです。
ですから、僕は取材対象の条件として、
① 自家源泉を所有していること。
② または源泉を引き湯していること。
を通達しています。
ところが今回、手違いがあり、この2つの条件に当てはまらない宿が取材対象に含まれていました。
事前に、しっかり調べておかなかったのがいけないのでが、結果的に、僕が現場で気づくことになりました。
・加水あり
・加温あり
・循環ろ過装置使用
あれ? 源泉の温度は高いのに加温?
pH8.5のアルカリ性の割には、いくら加水しているといっても湯が硬質過ぎます。
不思議に思って、主人に話を聞くと、ポリ容器にて源泉を持ってくる 「汲み湯」 だったことが分かりました。
温泉法上では問題のない 「温泉」 ですが、僕の本の場合、掲載は不可ということになります。
宿もきれいで、とても感じのいい主人だったのですが、残念です。
75分の78 ・・・
本に掲載されない、幻の温泉宿の話でした。
Posted by 小暮 淳 at 21:08│Comments(2)
│取材百景
この記事へのコメント
お久ぶりです。
『みなかみ18湯〔下〕』の取材終了、お疲れ様でした。
希釈率の問題、気になります。
先日、某日帰り温泉に二人で行きましたが、浴室に入ると、塩素臭が多く、
ビックリしました。泉質も温泉分析表とは、感じが違う?
今さらながら、源泉の分析表であって、浴槽の分析表ではないのですね!
講座でも、「塩素が入ると、湯気の立ち方が・・・」と、おっしゃていましたが、
もっと、詳しく知りたいです。
機会があれば、小暮さんの多くの講座に出席して、“もしや・・・”と、心の中で思える、温泉通になりたいです。
群馬に観光に来られた方が、そのような温泉に、最初に入られ、群馬の温泉のイメージが悪くならなければいいですけどね。
『みなかみ18湯〔下〕』の発売が待ち遠しいです!!
『みなかみ18湯〔下〕』の取材終了、お疲れ様でした。
希釈率の問題、気になります。
先日、某日帰り温泉に二人で行きましたが、浴室に入ると、塩素臭が多く、
ビックリしました。泉質も温泉分析表とは、感じが違う?
今さらながら、源泉の分析表であって、浴槽の分析表ではないのですね!
講座でも、「塩素が入ると、湯気の立ち方が・・・」と、おっしゃていましたが、
もっと、詳しく知りたいです。
機会があれば、小暮さんの多くの講座に出席して、“もしや・・・”と、心の中で思える、温泉通になりたいです。
群馬に観光に来られた方が、そのような温泉に、最初に入られ、群馬の温泉のイメージが悪くならなければいいですけどね。
『みなかみ18湯〔下〕』の発売が待ち遠しいです!!
Posted by マッチ at 2013年03月06日 01:24
マッチさんへ
まさに、その通り!
「やっぱり、群馬の温泉は違うね」 と思っていただくためには、マガイモノ温泉は他県にまかせて、ホンモノ温泉であり続ける必要があります。
海のある県では、新鮮な魚介が捕れます。
湯の国群馬では、新鮮な温泉が豊富に湧いているのです。
早くこのことに、気づいてほしいものです。
まさに、その通り!
「やっぱり、群馬の温泉は違うね」 と思っていただくためには、マガイモノ温泉は他県にまかせて、ホンモノ温泉であり続ける必要があります。
海のある県では、新鮮な魚介が捕れます。
湯の国群馬では、新鮮な温泉が豊富に湧いているのです。
早くこのことに、気づいてほしいものです。
Posted by 小暮 at 2013年03月06日 11:52