2013年04月12日
おじいさんといっしょ③
♪歩こう 歩こう じいさんは元気
歩くの 大好き どんどん行こう♪
今週も恒例、『おじいさんといっしょ』 の時間がやって来ました!
毎週金曜日は、オフクロがデイサービスへ行く日であります。
よって、僕が朝からオヤジのお守に、実家へ行ってきました。
「おはよう! じいさん、元気か?」
と声をかければ、
「ああ、元気だ」
と、相変わらず所在無い返事が返ってきます。
でもね、こんなボケ老人でも、わずかに学習能力が残っていたんですよ。
「そうか、今日はジュンが来る日か・・・」
ですって!
ビックリ仰天であります。
先週までは、「お前は誰だ?」 とか 「なんでジュンがいるんだ?」 なーんて、ボケまくっていたのですから。
やっぱり、気候が良くなると、脳も活性化されるのでしょうかね。
こいつぁ、今日1日、やりやすそうですぞ!
「じいさん、何して遊ぶか?」
と訊けば、
「な~んでも、いい・・・」
と、そっけない返事。
「今日は天気もいいし、散歩へ行くか?」
と誘うと、
「行こう、行こう!」
と、うれしそうに立ち上がりました。
結局、いつものパターンで、オヤジの大好きな “さんぽ遊び” になってしまいました。
それにしても今日は、風のない、穏やかな、絶好の散歩日和(びより)でした。
杖を突く、オヤジの歩調も軽やかであります。
近くの寺院の桜の木の下。
すっかり葉桜になってしまった巨樹を見上げながら・・・
「オレが生まれたのは、昭和33年。もう、その時は、ここに住んでいたんだよな」
「ああ、そうだ」
「アニキは、昭和26年生まれ。その時は、どこに居たの?」
「太田(市) だよ。お産は琴平町(現・前橋市住吉町) だったけどな」
琴平町というのは、オフクロの実家です。
僕は病院で産まれましたが、アニキはお産婆さんが取り上げました。
昭和20年代、オヤジは太田市の進駐軍で、通訳の仕事をしていました。
「ふ~ん、じゃあ、この町に越してきたのは、アニキが生まれた後で、オレが生まれる前ということだね」
「ああ、そうだな」
「だったら、当然、この桜の木は、ここにあった」
そういうと、オヤジは目を細めて、うれしそうに見上げました。
「そりゃそうさ。毎年、桜を見せに、お前たちを連れて散歩に来た。お前たちの子供たちだって、みーんな連れてきたよ」
いつもは、大通りを歩いて、県庁まで行くのですが、今日はオヤジの機嫌も調子もいいので、前橋公園まで足をのばすことにしました。
「さちの池」 をグルリと回り、臨江閣の庭園をめぐり、帰りはバスに乗って帰ってきました。
さすがに散歩好きのオヤジも、疲れたようで、午後はコタツで熟睡していましたよ。
僕は、10~20代の頃に、ほとんどオヤジと口を聞いた記憶がありません。
あの頃に、もっともっと 話をしておけば良かったなぁ・・・などと、今になって後悔しています。
そんな懺悔(ざんげ) の気持ちもあってか、今になって、たくさんオヤジと話がしたくてたまりません。
夕方、アニキが帰ってきたので、バトンタッチ!
「じいさん、また来るよ」
寝顔に声をかけて、実家をあとにしました。
さーて、これで今日のお役目は終了。
これからは、自分のための時間です。
大好きな 『お酒といっしょ』 の時間です。
と、いうことで、ちょっと夜の街へ出かけてきますね。
Posted by 小暮 淳 at 18:06│Comments(0)
│つれづれ