2013年07月04日
ホタル、とんだ!
早くも、来年に出版予定の本の表紙撮影が行われました。
おかげさまで、2009年から上毛新聞社より出版している “群馬の温泉シリーズ” も、今春発売された 『みなかみ18湯 〔下〕』 で5冊目となりました。
シリーズの本文写真は、同行取材をしているアートディレクターの桑原一氏が撮ってくださっていますが、表紙とグラビアに関しては、毎回、プロのカメラマンにお願いしています。
今までの担当カメラマンは、下記のみなさんです。
第1弾 『ぐんまの源泉一軒宿』(2009年) 綱島 徹 氏
第2弾 『群馬の小さな温泉』(2010年) 竹沢 佳紀 氏
第3弾 『あなたにも教えたい 四万温泉』(2011年) 酒井 寛 氏
第4弾 『みなかみ18湯 〔上〕』(2012年) 酒井 寛 氏
第5弾 『みなかみ18湯 〔下〕』(2013年) 酒井 寛 氏
そして来年、シリーズ第6弾の表紙およびグラビアの写真を担当するカメラマンは・・・
一昨日の夕方。
僕は、群馬県内の某温泉の宿で、ビールを片手に、彼の到着を待っていました。
「小暮~! なんだよ、もう飲んでんの?」
「あたりまえでしょ、お前も、どう? 少し入ったほうが、いい写真が撮れるぞ!」
と言って、僕は缶ビールを1本、彼に手渡しました。
「へへへ、そうかな~。日没までは、まだ、だいぶ時間があるしなぁ……」
「アルコールで清めて、煩悩(ぼんのう) と邪念を払う。そして、残された感性のみでシャッターを押す!」
「まったく、小暮は相変わらずだなぁ~! 昔と、ちっとも変わっちゃいない」
とかなんと言いながら、これからの撮影の成功を祈願して、豪快に飲み干したのであります。
彼の名は、綱島徹。
僕と彼は、中学から高校をともに過ごした、いわば悪友同士であります。
午後6時30分
宿を出て、すでに事前にロケハンを済ませておいたベストポイントへ。
「まだ、明るいな。これじゃ、宿の明かりも見えない」
と、三脚を立てながら彼が言う。
午後7時
「まだですね。西の空が明る過ぎる」
7時30分
カシャー、カシャー、カシャー ・・・・・
やっと薄暮の山間に、シャッター音が鳴り響き出しました。
8時10分
「小暮、時計持ってる? 2分間を計ってくれ?」
暗闇の中で、彼の声だけがします。
カッ・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・シャ!
長い長い、開放状態での撮影です。
「次、1分30秒」 「次は1分ちょうどで、たのむ」
なんとも、不思議な時間が、2人の間に流れました。
急に、学生時代のことや一緒に東京へ出た日のこと、大人になってからも2人で旅をしたこと……
暗闇の中で、時計の針とともに、想い出を追いかけていました。
と、その時です。
スーーーーーーーッ
と、光が視界の中を横切りました。
<あっ、妖精かも?>
と一瞬、思いましたが、それはホタルでした。
※(なぜ妖精かと思ったのかは、当ブログの2010年11月16日「妖精目撃」を参照)
ホタルが1匹、光の線を描きながら、僕らの前を通り過ぎて行ったのでした。
8時30分
「カンパーイ!」
宿の協力を得て、僕らだけの遅い夕食が始まりました。
「お疲れさまでした。とりあえず、OKだね」
と、僕が言えば、
「たぶん、な。ま、出版までは、あと1年あるんだ。何度でも撮りに来るさ」
と彼。
「そうか、すまんな」
「なーに、大変なのは、これから小暮のほうだ」
「そっか(笑)」
これから1年かけて、また長い長い、温泉行脚(あんぎゃ) の旅を続けなくてはならないのです。
読者のみなさーん!
ご期待くださいね。
シリーズ第6弾で、僕の温泉ライターとしての集大成をお見せしますよ。
Posted by 小暮 淳 at 19:03│Comments(0)
│取材百景