2013年07月16日
亀の甲羅干し
「自分はマグロだから、いつも泳いでないと死んじゃうんだ」
と、ひとり言のように、つぶやいた仲間がいました。
彼もまた、フリーランスで仕事をこなしています。
「なるほどねぇ~、マグロか~。うまいこと言うね」
と、彼の仕事ぶりを知っている僕は、感心してしまったのでした。
フリーランスで仕事をする人には、2通りあるようです。
彼のように、サラリーマン以上にガツガツと仕事を取ってきて、ガムシャラに働くタイプと、そもそも束縛されるのがキライで、自由を求めてフリーランスになったタイプです。
残念ながら、どうみても僕は、後者のようです。
だって、サラリーマンを辞めた一番の理由は、“毎日、同じ時間に起きる” ことに耐えられなくなったからですからね。
決して、早起きがイヤなのではなく、判で押したような “同じ毎日” のくり返しが、苦痛でならなかったのです。
もっと言えば、仕事がない日まで(忙しくない日まで) 出社することに疑問を抱いてしまったのです。
結果、仕事があるときは忙しいけど、ないときは朝から酒が飲めるフリーランスの道を選んだというわけです。
でもね、僕だって、独立した頃は、必要以上に働いたこともあったんですよ。
あまりに仕事がないと不安になりますからね。
また家族の手前、毎日ブラブラしているわけにもいかず、ついつい、無駄な営業に出かけて行ったこともありました。
でも、「フリーのライター」 なんていう名刺を持って、印刷会社やデザイン会社、新聞社、雑誌社を回ったって、1本の依頼もありませんって!
しょせん、“名刺” ですからね。
名刺で、その人の力量は分かりません。
で、僕は、名刺営業を止めました。
その代わり、半年間、家にこもって、本を1冊書いて、出版しました。
なぜか?
はい、名刺より、本を配ったほうが説得力があると考えたからです。
だって、画家だったら、「画家」 という名刺を見せるより、描いた絵を見せたほうが説得力がありますものね。
そしたら、てきめん、仕事の依頼が来ましたよ。
それからは、自分で仕事を売り込むのではなく、仕事が次の仕事を持って来るようになりました。
かれこれ20年近く、こんなヤクザな仕事をしています。
おかげさまで、今では、すっかりフリーランスの気ままさに染まってしまい、何日も仕事がなくても決して動じなくなりました。
毎日、本を読んだり、映画を観たり、昼寝をしたり、親の介護をしたり、次の取材の準備をしたり・・・
これを僕は、「亀の甲羅干し」 と呼んでいます。
一見、ヒマを持て余しているように見えますが、実は、ヒマはヒマでも、持て余してはいないのであります。
実は、これは次に、いい仕事をするための充電期間なんです!
(甲羅に太陽電池が入っていて、蓄電しているのです)
だから、カメもマグロの回遊と同じで、甲羅干しをしないと死んでしまうのです。
えっ? 体(てい) のいい、いいわけだって?
す、す、すみません!
もしかしたら、ただのナマケモノかもしれませんね。
ところで、あなたは、マグロ派ですか? カメ派ですか?
Posted by 小暮 淳 at 22:18│Comments(0)
│つれづれ