2013年08月23日
つま恋温泉 「山田屋温泉旅館」
「今、決まりました。育英、優勝です!」
僕が、風呂から戻ると、フロントの中から3代目主人の山口貴さんが、飛び出して来ました。
「やりましたか! やってくれると信じていましたよ」
と、僕も小躍りして、ともに喜びを分かち合いました。
とにかく、気が気ではなかったんですよ。
仕事が手につかないとは、このことです。
でも、昨日は、取材出張日でした。
だから移動中は、車の中でラジオを聴き続けていたのです。
夏の高校野球、決勝戦。
前橋育英(群馬) 対 延岡高校(宮崎)。
4回の裏、延岡高校に3点先取されると、すかさず次の回には3点を奪取して、同点に!
ここで、取材先に到着してしまいました。
う~ん、ずーっと車の中で聴いていたいけど、約束の時間です。
しぶしぶ、館内へ。
「育英高校、同点ですね」
と、主人との第一声が、高校野球の話でした。
「みたいですね。私もテレビを観ていたいんですけど、それだと仕事にならなくなっちゃうもんで……」
「でも気になりますよね」
と僕。すると、
「いやね、私も息子も、育英高校の出なんですよ」
と主人。
「それじぁ~、なおのこと気になりますね」
かく言う僕にとっても、育英高校は息子の出身校なのであります。
優勝が決まり、やっと落ち着いて主人と僕はロビーのテーブルに向かい合い、取材モードに入りました。
僕が、つま恋温泉の一軒宿、山田屋温泉旅館を最初に訪れたのは、もう、かれこれ10年近く前のこと。
雑誌の取材でした。
その後、何度か訪れていますが、その都度、好意的に取材協力してくださっています。
主人と僕が同い年だったというのも、話のウマが合う理由かもしれません。
何年か前には、こんな事もありました。
某鉄道会社の広報誌の取材で訪れた時のことです。
日帰り取材のつもりで来ていたのですが、カメラマンの撮影が押して、夜になってしまいました。
そしたら、
「これから帰るのは大変でしょう。今日は、もう泊まっていったら」
なーんて、言ってくれるものだから、ちゃっかり一晩、お世話になってしまったことがありました。
親切にしてもらっているから、ほめるんじゃないんですけど、本当に、ここの宿は湯がいいんです。
自噴する源泉の量は、驚異の1日ドラム缶約800本分!
これが、内風呂、露天風呂、貸切風呂からジャンジャンかけ流されています。
マグネシウムと鉄分の含有が多く、半透明の湯は一見、光の加減で濃緑色に見えますが、浴槽の中で湯をすくうと、黄褐色の小さな粒を確認することができます。
で、いくつも浴槽はありますが、僕のお気に入りは、JR吾妻線を見下ろす露天風呂。
コトンコトンコトン、コトンコトンコトン……
時おり通過する列車の音を聴きながらの湯浴みは、至福のひととき。
山あいを走るローカル線の響きは、街中で聴くそれとは異なり、なんとも郷愁を誘うのであります。
晴れていれば、湯舟から日本百名山の一座、四阿山(あづまやさん) を望むことができますよ。
Posted by 小暮 淳 at 21:48│Comments(0)
│温泉地・旅館