2013年08月24日
鹿沢温泉 「紅葉館」④
鹿沢温泉の一軒宿、紅葉館がリニューアルオープンしたというので、さっそく取材がてら、泊まってきました。
最後に訪ねたのは、2年前の夏。
4代目女将の小林百合子さんに、インタビューをしました。
そのとき、長男が修業を終えて帰って来たので、「これを機に、旅館を建て替えることにした」 と聞いていました。
昨年のゴールデンウィーク明けから着工。
本館が解体されました。
昨年、2回ほど宿の前を通ったことがありましたが、なかなか新館が建つ気配がなく、心配していたのです。
「そうだったんですよ。実は本館を壊したら、敷地から大きな岩がゴロゴロ出てきましてね。工事が大幅に遅れました。丸々1年かかりました」
と、若き5代目主人の小林昭貴さんが、出迎えてくれました。
今年の6月に完成した新しい本館は、木をふんだんに使った山小屋風。
奇をてらったところがなく、実にシンプルな建物です。
通された部屋も、テレビ以外の調度品類は、一切置かれていません。
「ええ、ここに来たら自然を感じて欲しいので、あえて余分なものは排除しました」
う~ん、いいですね。
シンプル イズ ベスト!
そういえば、エアコンもありません。
でも、ここは標高1,530メートルもあるんですよね。
赤城山や榛名山の山頂よりも高い所にある温泉なのです。
冷房なんて、無用でした。
さてさて、前回、女将とのインタビューの際、どうしても気になって聞いたことがありました。
それは、あの、僕が県内でも3本の指に挙げる 「雲井乃湯」 源泉と浴室は、どうなるのか?ということ。
確か女将は、
「浴槽と浴室は、先祖の言いつけどおり、そのまま残すことにしました」
と言っていましたが・・・
本当でしょうか?
部屋で浴衣に着替え、旅装を解いて、缶ビールを1本いただいてから、浴室棟へ向かいました。
いや~っ! そのままですよ。うれしいですね。
扉を開けると、ム~ッとまとわり付く蒸された空気と金気臭。
脱衣場から浴室を覗き込むと、僕の大好きな昭和の香りがいっぱいに広がるレトロな浴槽が、健在です!
泉温、約47度。
源泉の湧出地は、浴室の上方、わずか10メートル。
自然流下により注ぎ入れているため、温度は下がっても2~3度と、かなり熱めです。
相変わらず、ガツーーーーンと体当たりしてくるマッチョな湯であります。
足から徐々に、腰まで・・・
そして、意を決して肩まで浸かると、途端、グイグイと今度は体全体を羽交い絞めにしてきます。
でも、そう感じるのは、ほんの1、2分のこと。
やがて、スーッと湯が馴染むように、しみ込んでくるんです。
なんとも不思議な温泉であります。
「建て替え前から、“浴室と浴槽は残してほしい” という声が多かったですからね。常連さんたちは、みなさん、ホッとして喜んで帰られます」
と、昭貴さん。
湯は変らないけれど、変ったものもあります。
それは、料理!
実は、昭貴さんは13年間にわたり、大阪の有名和食料理店で修業をしてきた方なのです。
すべて地元、嬬恋村の食材だけを使って仕上げられた料理は、素材の味がしっかり生かされた逸品ぞろい。
どれも手が込んでいて、箸が止まりません。
なかでも、嬬恋高原キャベツを使った浅漬け風のサラダは、「えっ、キャベツって、こんなに美味しかったっけ!」 と声に出してしまったほどの絶品です。
ぜひ、一度、食されたし!
そして、関西風のダシのきいた薄味料理には、辛口の日本酒が、よく合います。
もちろん、その晩も例外なく、キーンと冷えた冷酒を、しっかり御馳走になりました。
Posted by 小暮 淳 at 21:58│Comments(0)
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