2014年01月21日
不幸が足りない
「わかった! 小暮さんに足りないもの。それは、“不幸” ですよ!」
先日の新年会でのこと。
突然、さる女史が大声を上げました。
不幸?
なに、それ?
「小暮さんには、何かが足りないと思っていたんですよ」
とは、謎めいた珍問答のようです。
すると、もう1人が、
「確かに、偉大な作家や芸術家は、みんな不幸を背負っています。そして、その不幸が作品を生み出す原動力になる」
だなんて……。
おいおい、僕は作家でも芸術家でもありませんよ。
ただの物書き。それも、温泉入って、感想を書いている、ただのライターです。
でもね、あれから数日経った今でも、なんだか、この言葉が頭の中に巣作っていて、繰り返し繰り返し、めぐってるんです。
“不幸が足りない” “不幸が足りない” “不幸が足りない” ・・・・・・
思えば、言い当てていて妙な言葉です。
確かに生まれてこのかた、「不幸」 とは無縁の人生を送ってきていますもの。
始まりは、6歳の春でした。
僕は兄と父と、父の教え子の車で榛名山へドライブに行きました。
その帰り道、車がカーブを曲がりきれず、一回転してガードレールに突っ込みました。
なのに全員、無傷だったんです。
特に僕は、回転する車の中から、道に放り出されたといいます(目撃者・談)。
九死に一生!
まず、ここで僕は、不幸との遭遇を回避しています。
それから45年後。
今から5年前のことです。
高校2年生だった息子が、通学途中に自転車ごと車にはねられました。
飛ばされ、フロントガラスをぶち破り、もう一度はねられ、道路に叩きつけられる大事故です。
もちろん息子は、意識不明の重体。
翌日の新聞には、しっかりと 『高校生 はねられ重体』 の記事が!
3日間の昏睡状態が続き、息子は4日目にこの世に帰ってきてくれました。
ここでも、奇跡が起きたのです。
またしても僕の前から、不幸が逃げて行きました。
一昨年は心臓病、昨年は脳出血と、オフクロが2度にわたり倒れましたが、やはり後遺症もなく病院から帰ってきました。
これを人は、「何かに守られている」 というのでしょうが、完全に不幸に見放されている一家とも言えそうです。
それ以外にも、自分の人生を振り返ると、確かに “不幸” と無縁のようであります。
27歳で結婚したわけですが、僕は無職でした。
本来なら、無職の男は結婚なんてできませんって。
だから僕も断りましたが、家内にとって無職は、結婚を断る理由にはならなかったようです。
そして妊娠、出産。
あれよのうちに、3人の子の父親となりました。
と、思ったら3年前には、孫までできて、まるで幸せを絵に描いたような模範的人生を送っていたのです。
いくら僕自身が、波瀾万丈な奇抜な人生を演出しても、他人には順風満帆の人生に映っているということなんでしょうか……。
だもの、貧乏くらいじゃ、他人は納得してくれませんよね。
だって、貧乏は、必ずしも “不幸” の条件じゃありませんもの。
ああ、どうすれば “不幸” になれますか?
僕の人生に足りないもの、それは “不幸” なんです。
Posted by 小暮 淳 at 20:53│Comments(3)
│つれづれ
この記事へのコメント
不幸だと思えば、全てが不幸になるし、不幸じゃないと思えば、全てが不幸じゃない。
小暮師匠は、どんなときでも不幸じゃないと思うので、一生不幸にはなりませんって(それでは、大作が出来なくなってしまうのですが・・・。)
小暮師匠は、どんなときでも不幸じゃないと思うので、一生不幸にはなりませんって(それでは、大作が出来なくなってしまうのですが・・・。)
Posted by ヒロ坊 at 2014年01月22日 10:17
共通点!?
藤原拓海も必ず勝ってしまう強運な設定
ドラゴンボールは死んでも生き返る設定
『生まれ持って何かをもっているのかな…』高橋良介のセリフより
藤原拓海も必ず勝ってしまう強運な設定
ドラゴンボールは死んでも生き返る設定
『生まれ持って何かをもっているのかな…』高橋良介のセリフより
Posted by ぴー at 2014年01月22日 10:25
ヒロ坊さんへ
幸福は自分の心が決めるもの。
不幸は他人が決めるもの。
だから、きっと僕は幸せなんですね。
不幸を感じられない無痛人間のようです。
でも、それくらい鈍感じゃないよ、この世の中わたってはいけませんって。
ぴーさんへ
自分でも良くわからないのですが、強運の持ち主だとは思います。
ただ、金運だけは生まれてこのかた、まったくありません。
「天は二物を与えず」 ですね。
幸福は自分の心が決めるもの。
不幸は他人が決めるもの。
だから、きっと僕は幸せなんですね。
不幸を感じられない無痛人間のようです。
でも、それくらい鈍感じゃないよ、この世の中わたってはいけませんって。
ぴーさんへ
自分でも良くわからないのですが、強運の持ち主だとは思います。
ただ、金運だけは生まれてこのかた、まったくありません。
「天は二物を与えず」 ですね。
Posted by 小暮 淳
at 2014年01月22日 20:36
