2014年05月02日
ため息のゆくえ
オヤジは今年9月で、90歳になります。
オフクロは今月、87歳になります。
共に元気で、穏やかな老後を送っています。
が、2人だけでは暮らせません。
オヤジは認知症、オフクロは足が不自由なんです。
よって、介護が必要です。
僕は2人兄弟。7つ離れた兄がいます。
ふだん、両親の面倒は兄が看てくれていますが、彼の家族は東京にいます。
で、このゴールデンウィークは東京へ帰ることになり、今週は僕が介護当番をするこになりました。
オヤジは頭がボケているだけではなく、目と耳が不自由です。
だから新聞も雑誌も読めません。ラジオやテレビを観たり聴いたりすることもできません。
日がな毎日、ただボーっとイスに座って過ごしています。
オフクロは、頭も目も耳も達者ですから、テレビも観るし、新聞も読みます。
でも足が不自由ですからね。
結局、炊事や洗濯、掃除はできません。
もちろん、買い物にも行けません。
これらは、すべて “介護当番” の仕事となります。
朝、昼、晩。おさんどんの用意を済ませると、さすがに、グッタリと体にこたえます。
後片付けを終えて、「フーーーッ」 っと大きなため息をついて、僕は床にへたり込みました。
「ありがとうね。疲れたろう。すまないね」
と、オフクロ。
「・・・・・・」
なぜか、返事をしない僕。すると、
「子供がさ、親の介護に疲れて、殺しちゃう事件があるよね。気持ち、分かるよ」
なんて、言い出した。
「分かるんかい?」
「ああ、分かるね。老人の面倒を看るのは、子育てより大変だもの」
「そりゃ、そーだ。子供は可愛いけど、年寄りは可愛くないものな」
「本当だね」
と言って、うつむくオフクロ。
しばし、沈黙がつづきました。
「でもオレとアニキは、バーサンとジーサンを殺しやしないから、安心しな」
「そーかい。ありがとうね」
「でもな、言うこときかけりゃ、施設に突っ込むぞ!」
と、冗談半分で本音を吐く僕。
「それは勘弁しておくれよ。やっぱり、うちがいいもの・・・」
僕は、もう一度 「フーーーッ」 と深いため息をつきました。
ゴールデンウィークは、やっと折り返し。
あと4日間、あります。
アニキ、早く帰って来てくれよ~!
Posted by 小暮 淳 at 19:59│Comments(0)
│つれづれ