2014年08月01日
摺渕温泉 「山十旅館」②
前回、摺渕(すりぶち)温泉の 「山十(やまじゅう)旅館」(片品村) を訪ねたのは、去年の12月。
雪が舞っていたことを思い出します。
あれから8ヵ月。
季節はめぐり、今回は真夏です。
下界のような猛暑ではないにしろ、片品川を見下ろす高台に建つ一軒宿には、サンサンと真夏の太陽がふりそそいでいました。
「こんにちは!お久しぶりです」
息を切らし、汗を拭きながら坂道を登ると、ちょうど2代目主人の篠原徹則さんと、3代目(継ぐ予定)の息子、利一くんが犬の散歩から戻ったところでした。
「うちはさ、学生の合宿を取らないからね。夏は、ヒマだよ」
と、恰幅の良い体躯を揺らしながら、彼もまた額の汗を拭うのであります。
僕は、前回訪ねたときに、ご主人と約束したことがありました。
それは、「夏に来たら、畑を見せてほしい」 ということ。
「畑は、遠いのですか?」
と訊くと、
「そこ」
と指さしたのは、宿の敷地続きの土地でした。
いつ来ても庭がきれいに手入れされていて、花々が咲き、緑に囲まれているものですから、こんなに近くに畑があるとは知りませんでした。
ビニールハウスと露地栽培の畑には、今が旬とばかりにトマトやキュウリ、ナス、トウモロコシ、ピーマン、シシトウなど、ざっと数えても10種類は下らない野菜が作られていました。
さすが、「肉と魚以外は、地産地食の宿」 を自慢するだけのことはあります。
ここ以外も、少し離れた村内に田んぼと果樹園があり、先代夫婦とともに一家で農業と旅館を営んでいます。
「もともと百姓育ちだからね」 と笑う篠原さん一家は、今から10年前に八ッ場(やんば)ダムの水没予定地(長野原町) から移り住んで来ました。
それまでは、農業のかたわら民宿を営んでいました。
べつに畑仕事を手伝ったわけではないのですけどね。
歩き回ったら、また、たっぷり汗をかいてしまいました。
だもの、篠原さん一家が惚れ込んだ温泉も、しっかりいただいてきました。
この地を移転先に選んだ一番の理由が、地元で 「アトピーに効く」 といわれている温泉が湧いていたことでした。
「湯の効能は、うちの子供で実証済みです」 と太鼓判を押します。
泉質は、アルカリ性単純温泉。
ツルツル、スベスベの浴感は、健在でした。
ご主人、ありがとうございました。
利一君、また来るからね!
2人は、とっても仲の良い親子なんですよ。
※(親子のエピソードは、拙著 『新ぐんまの源泉一軒宿』上毛新聞社刊 をご覧ください)
Posted by 小暮 淳 at 18:05│Comments(0)
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