2014年08月03日
カブトムシ、飛んだ。
ブーーーン、ブーーーン、バシッ!
ブーーーン、ブーーーン、バシッ!
僕の仕事部屋は、自宅の2階。
夜は、カーテンを閉め切って、この時期はエアコンをかけて仕事をしています。
ブーーーン、バシッ!
数日前のこと。
外で大きな羽音がしたと思うと、窓ガラスに何かが体当たりする音がしました。
それが、2回、3回と繰り返されます。
「ん? 虫かな?」
その程度にしか思っていませんでした。
ところが、次の日も、その次の日も、音の主はやって来ます。
あわててカーテンを開けて、外を見てみましたが、それらしき姿はいません。
ところが昨晩、正体が判明しました。
深夜、仕事を終え、シャワーを浴びた後、リビングでビールを飲んでくつろいでいた時です。
「あっ、カブトムシ!」
と、一緒にビールを飲んでいた長男が、窓を指さしました。
見ると、大きなカブトムシが飛翔しながら、何度も何度も網戸に体当たりしています。
一向に、網戸に留まる気配がありません。
「こいつだよ、オレの部屋に数日前から訪ねて来ているヤツは!」
僕は、息子に、この数日間の話をしました。
それにしても、稀(まれ) に見る大きなカブトムシです。
て、いうか、カブトムシ自体が珍しい。
20年近く、この地に住んでいますが、カブトムシなんて飛んで来たことは一度もありません。
「捕まえるか?」
と息子に問えば、
「いいよ。お盆も近いしさ」
と、殊勝な返事が返ってきた。
そう、昔々のこと。
死んだばあちゃんに言われたものです。
「ご先祖様が虫に姿を変えて会いに来るから、お盆中は虫を捕ってはいけない」 と・・・
それまでに捕まえた虫も、お盆が近くなると、泣く泣く全部、逃がした思い出があります。
「だよな。でもコイツ、オレに何を言いに来たんだろうね」
っていうか、あなたは先祖ですか?
それとも……
僕はカブトムシを見つめながら、若くして逝った友人たちの顔を思い浮かべました。
「おい、誰なんだい?」
ブーーーーーーーン
カブトムシは、大きく羽ばたくと、闇の中へ飛んで消え去りました。
Posted by 小暮 淳 at 16:33│Comments(0)
│つれづれ