2016年06月22日
そして父だった②
「あれ? 白髪、増えたね」
先月結婚して、所帯を持った長男が、ひょっこりと顔を出しました。
僕の顔を見るなり、開口一番、そう言ったのです。
「増えたんじゃないよ。染めるのやめたんだ」
「ふ~ん、なんで?」
「別に理由はないけど、なんとなく。お前も結婚したことだし」
「えっ、俺の結婚と関係あるの?」
※(2016年6月6日 「ありのままの白」 参照)
「今日は仕事、休みなのか?」
「うん」
「なんか用か?」
「いや……、マロに会いにきた」
そう言うと、さっきから息子にジャレついている犬のマロを抱きしめ、猫可愛がりをはじめました。
「やっぱり、結婚式、挙げることにした」
「そうか」
「来年の○月×日。だいぶ先だけど」
「そうか」
実は我が家は、僕ら夫婦も長女夫婦も兄夫婦も義兄夫婦も姪夫婦も、結婚式を挙げていません。
理由はそれぞれで、偶然だと思うのですが、みんな形式ばったことはしていません。
でも息子の場合、会社組織の中にいるので、しないわけにもいかないようです。
もちろん、先方の親御さんの考えもあるでしょうから、こちらの考えを一方的に押し付けるわけにはいきません。
息子夫婦が決めたことに、したがうだけです。
えっ、でも、ということは、披露宴の最後に、「両家を代表して新郎の父からご挨拶」 っていうやつがあるわけですかね?
うわ~、そう思っただけで、今から緊張してきました。
なに? 日頃から講演やセミナーをやっているのだから、人前で話すのは慣れているだろうって?
いえいえ、勝手が違い過ぎますよ。
僕のスピーチは、身内用には、できていないんですって。
いつだって、出たとこ勝負のフリートークですからね。
話が脱線して、イヤミを言ったり、笑いを取ったりするわけにはいきませんもの。
あ~~、急に憂うつになってきました。
息子が帰った後、麦茶を飲もうと冷蔵庫を開けると……
缶ビールが6本も入っているではありませんか!
“父の日”
とだけ書かれたメモが付いていました。
もちろん銘柄は、「一番搾り」 です。
Posted by 小暮 淳 at 16:28│Comments(0)
│つれづれ