2018年03月28日
谷川温泉 「金盛館 せゝらぎ」②
『わがゆくは山の窪なるひとつ路 冬日光りて氷りたる路』
大正7(1918)年11月12日、歌人の若山牧水は上野駅を発ち、伊香保温泉~水上温泉(旧湯原の湯)~湯檜曽温泉とめぐり、16日から3日間、谷川温泉の金盛館に投宿しました。
この奥利根を旅した紀行文は、大正10年にアルス社(大正6年創立・現存せず) から出版された 『靜かなる旅をゆきつゝ』 に収録されています。
そのときに、湯檜曽温泉から谷川温泉に向かう途中で詠んだのが、冒頭の歌です。
ちなみに大正11年に群馬を旅した 『みなかみ紀行』 では、牧水は水上には訪れていません。
「みなかみ」 とは、川の上流との意味で書かれたようです。
昨日は、僕が講師を務めるNHK文化センター野外温泉講座の平成29年度最終講座日でした。
年度のファイナルを飾るのにふさわしく、ちょっとリッチに格式の高い老舗旅館を訪れました。
群馬県利根郡みなかみ町の谷川温泉 「金盛館 せゝらぎ」。
4代目主人の須藤温(みつる) さんは、僕を 「みなかみ温泉大使」 に任命してくださった前みなかみ町観光協会長ということもあり、一行を乗せたバスが旅館に着いたときは、協会職員らとともに盛大に出迎えてくれたのであります。
「先生、大使って、すごいですね!」
「熱烈歓迎ぶりじゃないですか!」
ま、たまには、いいんじゃないですかね。
受講生のみなさんも大喜びの様子だし、講師としては、ちょっぴり優越感を味わったのでありました。
さてさて、宿に着いたら、まずは入浴です。
4本の源泉から引かれた総湯量は、毎分約600リットル!
これを一軒で利用しているのですから、贅沢です。
しかも、33~58度の異なる源泉の湯を混合することにより、季節を通じて適温になるように調節されています。
で、宿の自慢はなんといっても、河川敷の中にある野趣あふれる露天風呂であります。
ここは混浴なので、時間をずらして男女で交互に入りました。
残雪の間を流れる谷川の清流。
手を伸ばせば届きそうな川瀬。
まさに宿名どおりの “せせらぎ” の中で湯を浴む最高のロケーションであります。
湯上がりは、お約束の生ビールで乾杯!
春をあしらった旬の味覚に舌鼓を打ちながら、らんまんと宴が始まったのでした。
いよいよ、この講座も来月からは10年目に入ります。
受講生のみなさん、今年度もよろしくお願いしますね。
Posted by 小暮 淳 at 12:14│Comments(0)
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