2018年04月04日
伊香保はどんな所です?
<伊香保はどんな所です?>
この言葉は、昨年5月に出版した拙著 『金銀名湯 伊香保温泉』(上毛新聞社) の 「あとがき」 のタイトルです。
本の帯コピーにもなりました。
そもそも、これは郷土の詩人・萩原朔太郎の言葉です。
大正8(1919)年 に発行された 『伊香保みやげ』 という随筆集に、こんな一文を寄せています。
<私の郷里は前橋であるから、自然子供の時から、伊香保へは度々行つて居る。で 「伊香保はどんな所です」 といふやうな質問を皆から受けるが、どうもかうした質問に対してはつきりした答をすることはむづかしい。> (『石段上りの街』より)
同じく前橋に生まれ育った僕にとっても、朔太郎同様、伊香保温泉は子どもの頃から慣れ親しんだ温泉なので、答えに窮するのであります。
だから1年間、伊香保に通い、本を書き上げたのですが、それでもまだ答えには窮しています。
それは伊香保温泉が、日々成長し、進化している温泉地だからです。
昨日、久しぶりに伊香保温泉を訪ねて来ました。
雑誌の取材のためです。
客が来る前にということで、早朝より 「伊香保露天風呂」 と 「石段の湯」 を訪ね、撮影を済ませました。
その後、渋川伊香保温泉観光協会にて、協会長の大森隆博さんと面談。
インタビュー取材をしてきました。
なんといっても話題は、今月、伊香保に開山する寺院です。
ご存知でしたか?
水沢観音から温泉街へ抜ける県道の途中に、大きなお寺が建設中であることを。
正式名を 「臨済宗佛光山法水寺」 といいます。
総本山は台湾の 「佛光山寺」 で、法水寺は日本の本山として設立されました。
佛光山は、東京や山梨、大阪など日本各地に複数の寺院や道場があり、信者の数は500万人以上いるといわれています。
「伊香保はインバウンド(外国人観光客) では、かなり後発の温泉地です。年間訪れる観光客約100万人のうち、外国人はわずか1%に過ぎません。町は、今後の対応に追われています」
と、会長は話していました。
言葉の問題、食事の問題、マナーの問題……
各旅館の経営者を集めて、迎える準備のための勉強会を開いているといいます。
伊香保はどんな所です?
朔太郎が見ていた伊香保温泉とは、だいぶ様変わりするかもしれませんね。
Posted by 小暮 淳 at 11:52│Comments(0)
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