2018年05月14日
母の日なのに
毎週日曜日は、認知症のオヤジを連れて、リハビリ施設に入院しているオフクロを訪ねています。
ところが昨日は、会いに行くことができませんでした。
オヤジが突然、熱を出してしまったのです。
当然、熱のある老人を面会に連れて行くことはできません。
だからといって、オヤジを家に置いて、僕だけ行くこともできません。
「じいさん、大丈夫かい?」
「……」
別に熱のせいではなく、ふだんから耳が遠いので、別段、いつもと変わりはありません。
ただ、ジッとイスに座って、目をつむっているだけです。
これも、いつもと同じ。
寝ている時は、もちろんですが、起きている時も目は、つむっています。
目を開けているのは、食事をしているときぐらいなもの。
最近は、食事の最中でも寝てしまいますが……
「じいさん、あんたは、生きてるの? 死んでるの?」
「……」
生きているんなら、せめて生きている証しとして会話をしてほしくて、僕は呼びかけます。
たぶん本人は、今、熱があることも分からないんでしょうね。
「今日は、ばあちゃんに会いに行けないね」
「……」
「残念だね」
「……」
残念だと思っているのは、きっと僕だけです。
“母の日” なのに……
きっとオフクロは、僕がオヤジと会いに来るのを待っているはずです。
かあちゃん、ごめんな。
オヤジが熱さえ出さなければ……
ふと、オヤジを見れば、夕食のカレーライスを一人前、ぺロリと平らげています。
熱があっても、食欲旺盛の大食漢。
たぶん、これがオヤジの生命力の源なんですね。
「じいさん、薬を飲んだら、ちゃんと布団で寝てくださいね」
「……」
「その前に、オムツを交換しようね」
「……」
来週の日曜日は、オフクロの91回目の誕生日です。
オヤジの風邪を治して、何がなんでも会いに行かなくちゃ!
Posted by 小暮 淳 at 23:08│Comments(0)
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