2018年12月29日
冬の怪
ギェェェェェェーーーーッ!!!!
深夜の住宅街に大きな悲鳴が響き渡りました。
僕の声です。
昨晩のこと。
駅から自転車を漕いで、我が家まで帰る道すがら。
大通りを避けて、閑静な住宅地に入り込みました。
大きな庭のある、しょう洒な白い家の角を曲がったときです。
キキキキーーッ!
急ブレーキをかけました。
道路の真ん中に人が立っていたのです。
それも、おばあさんです。
それだけなら僕だって、驚きはしません。
ただ、そのおばあさんの格好が、異様だったです。
ガリガリにやせこけて、白髪が逆立っていました。
何より不気味だったのは、下着姿だったということ。
この真冬の寒空の夜に……。
一瞬にして全身に鳥肌が立った僕は、脱兎のごとく、自転車を立ち漕ぎしながら、全速力で家まで帰りました。
部屋に入り、一息ついたときです。
ハテ、ナンダッタノダロウ?
もちろん、幽霊ではありません。
確かに、生身の老いた女性に見えました。
でも、この世のものとは思えない、妖気が漂い、フラフラとよろけるように歩いていたのです。
徘徊?
そうだ、あのおばあさんは、認知症老人なんだ。
風呂上りか、寝る前の着替えの最中、家族が目を離したすきに、外へ出てしまったのではないか?
でも、寒くないのだろうか?
それより、家族は、突然、姿を消したおばあさんを探しているはずだ。
もう、見つかっただろうか?
ならばいいけど、交通事故に遭ってはいないか?
川や側溝に落ちて、ケガなどしてないだろうか?
気が付いたら、おばあさんの顔と、リハビリ入院中のオフクロの顔が頭の中で重なっていました。
そういえば、しばらく会いに行ってないなぁ。
明日にでも会いに行ってこようか……
あのおばあさんは、オフクロの生霊だったのかもしれませんね。
Posted by 小暮 淳 at 13:03│Comments(0)
│つれづれ