2019年09月25日
鹿沢温泉 「紅葉館」⑥
やっぱ、すごい!
グイグイ、しめ付ける。
ジンジン、しみて来る。
ビリビリ、しびれる。
さすが、群馬を代表する高品質の湯であります。
僕が講師を務めるNHK文化センター主催による野外温泉講座 「名湯・秘湯めぐり」。
毎月、バスで県内外の温泉をめぐっていますが、おかげさまで、この講座も11年目を迎えています。
ということは群馬県内に約100ある温泉は、ほとんど訪ねたわけでして、なので今年からは在校生にアンケートをとって、“もう一度行きたい温泉” のリクエストが多かった人気の温泉宿を再訪しています。
泉質部門で圧倒的な人気を誇ったのが、群馬県嬬恋村にある鹿沢(かざわ)温泉の一軒宿 「紅葉館(こうようかん)」 でした。
鹿沢温泉へ向かう群馬県側の道路が整備されたのは、戦後になってからでした。
それまでは長野県側からの湯治客ばかりでした。
長野の人たちには、今でも “山の湯” と呼ばれ親しまれています。
長野県東御市(とうみし)新張(みばり) から湯の丸高原のある地蔵峠を経て、鹿沢温泉までの約16キロにわたる県道沿いには、100体の観音像が安置されています。
昔、この道は 「湯道」 と呼ばれ、湯治場へ向かう旅人たちの安全祈願と道しるべを兼ねて、江戸時代の末期に立てられたものです。
その湯治場こそが鹿沢温泉であり、現在でも湯元として湯を守り続けている紅葉館の入口前に、ちょうど100番目の立派な観音像が立っています。
「きゅうじゅうはち、きゅうじゅうきゅう、ひゃーーーーく!」
バスの中では、受講生全員が観音像を数えながらカウントアップを楽しみました。
「やっぱり、すごい湯ですね~」
と以前にも来たことのある古参の受講生が言えば、
「わ~、こんな湯は初めてですよ!」
と新入生が驚きの声を上げます。
源泉の温度は約47度。
湧出量は毎分約60リットル。
そして最大の魅力は、源泉の湧出地と浴槽との距離が、わずか10メートル!
湧き出した湯が、地形の高低差のみを利用して、そのまま浴槽へ流れ込んでいます。
「自然湧出」 「自然流下」 「完全放流(かけ流し)」
僕が推奨する “いい湯の3条件” をすべて満たしている温泉なのです。
浴室の入口には、日本温泉協会の査定による 「天然温泉 温泉利用証」 が掲げられています。
これは温泉と浴槽の成績表で、実際に入る温泉の <自然度> <適正度> が、6項目5段階で評価されています。
で、ここは、「源泉」 「泉質」 「引湯」 「給排湯方式」 「加水」 「新湯注入率」 の6項目で、すべてオール5の評価を受けています。
全国には約3,000ヶ所の温泉地があります。
その中で、オール5の評価を受けている施設は、17軒しかないといいます。
その17軒のうちの1軒が、鹿沢温泉 「紅葉館」 なのであります。
「うーーーっ、このガツンと迫り来る湯の存在感がたまりません!」
熱いのですが、沈めない熱さではありません。
足、腰、胸と徐々に湯に慣らしながら沈めば、やがて肩まで入れます。
そして、全身を羽交い締めにするようにグイグイと締めつける浴感は、唯一無二の湯です。
まだ未体感の人は、ぜひ一度、「雲井の湯」源泉のワイルドな湯を味わってみてください。
ご主人、女将さん、息子さん、大変お世話になりました。
次回の人気投票でも、必ず選ばれると思いますので、また来ますね!
Posted by 小暮 淳 at 12:09│Comments(0)
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