2020年02月05日
『上州湯めぐり ものがたり』 開催中
「文書館」 と聞くと、敷居が高いと思ってしまいませんか?
かく言う僕も、そうでして、図書館の利用頻度に比べると、過去に数えるほどしか行ってません。
でも、テーマ展示があるときは、覗くようにしています。
しかもテーマが温泉となれば、必見です。
昨年夏に開催された 『群馬の温泉』 に続き、今年も群馬県立文書館では、新年から温泉をテーマにした展示をしています。
題して、『上州湯めぐり ものがたり』。
前回が明治~昭和初期の資料が中心でしたが、今回は江戸時代の温泉に関する古文書や絵図が展示されています。
また、草津・伊香保・四万などの主要温泉地だけではなく、温泉と文化の関わりや温泉地に向かう街道や交通、温泉に関係する産業、さらには温泉地で起きた事件なども紹介しています。
正面玄関に入って、最初に目に付くのは、文化14年(1817) に発行された 「諸国温泉功能鑑」 です。
いわゆる江戸後期の温泉番付表です。
最上位の東の大関には、ご存じ草津温泉が書かれています。
次いで前頭には、伊香保、川原湯、四万、老神といった群馬県民には馴染みの温泉地が並んでいます。
特筆すべきは、勧進元(興行の世話人) として沢渡温泉が名を連ねていることでしょうか。
温泉地の規模でいえば、大健闘だと思います。
さすが、昔から 「草津のなおし湯」 といわれるだけあります。
興味深いのは、当時の沢渡温泉の効能書です。
「瘡毒(さくどく)」(梅毒)、「皮癬(ひぜん)」(疥癬) といった皮膚病の類いが列記されていることです。
現在でも 「美肌の湯」 「美人の湯」 といわれるゆえんなんですね。
個人的には、当時の旅人が役所や関所へ湯治のために提出した文書の展示に、大変興味をひかれました。
もちろん、古文書は読めませんが、解説が書かれていますので、当時の様子は分かります。
それほどまでして温泉地へ向かった江戸時代の人たちにとって、湯治は、ただ単に病気を治す療養目的だけではなく、世の塵を洗うバカンスだったのでしょうね。
そう考えると、1泊2日で帰って来てしまう現代人より、昔の人のほうが贅沢なレジャーを楽しんでいたということです。
楽しみ方はいろいろです。
昔の温泉事情に興味がある人は、文書館に足を運んでみてください。
『上州湯めぐり ものがたり』
●期間 令和2年1月8日(水)~3月22日(日)
午前9時~午後5時 (観覧無料)
●休館 月曜日、祝日、月末
●会場 群馬県立文書館 (前橋市文京町3-27-26)
TEL.027-221-2346
Posted by 小暮 淳 at 19:17│Comments(0)
│温泉雑話