2020年11月22日
消えるソウルフード
群馬県民のソウルフードといえば、「焼きまんじゅう」 や 「おっきりこみ」 など名の知れたメジャーな食べ物もありますが、前橋市民のソウルフードとなると、かなりレア物となります。
たびたび、このブログにも登場する 「あくざわの焼きそば」。
昭和40~50年代に街中で遊んだ前橋っ子たちにとっては、究極のソウルフードでした。
一時、姿を消してしまいましたが、僕同様の往年のファンだった現主人が、数年前に味を引き継ぎ 「あくざわ亭」 として復活させたことは、全国ネットのテレビニュースにもなりました。
※(当ブログの2020年5月23日 「やきそば日和」 ほか参照)
「はぎのかりんとう」
「元黒飴」
「兵六のだんご」
なども、子どもの頃のおやつとしていただいた前橋のソウルフードでした。
数ある前橋のソウルフードの中で、誰もが認める “キング・オブ・前橋銘菓” といえば、やっぱり、これです!
「片原饅頭」
そう、県内第1号デパートの前三百貨店の向かいにあった老舗和菓子屋の 「志満(しま)屋本店」 が製造販売していた “おまんじゅう” であります。
創業は天保3年 (1832) 、しかし後継者不在のため平成8年(1996) に160余年の長い歴史を閉じました。
片原饅頭とは?
見た目は、一般にいう酒まんじゅうです。
中は甘さを抑えたこしあん、まわりの皮はフワフワで、前三百貨店の買い物帰りに立ち寄り、バラで買って、その場で、できたてを食べるのが楽しみでした。
でも難点は、無添加のため、すぐに硬くなってしまうこと。
(当時はビニールによる個別包装がされていませんでした)
だから、いただきものとして箱詰めでもらうと、数日後には皮がカチカチになって、ひび割れてしまいます。
まだ電子レンジなど無い時代です。
そんなときは蒸し器で吹かし直すのですが、1個だけ食べたいときは、よく電気炊飯器の炊きあがったご飯の上に乗せて蒸したものでした。
当然、食べる時には、まんじゅうの底は、ご飯粒だらけです。
底に貼られている 「へぎ」 と呼ばれる薄い木の板を上手にはがしながら、一粒一粒ご飯粒を食べるのも楽しみだったことを覚えています。
平成14年(2012)、「あくざわのやきそば」 同様、郷土の名物を復活させたいと根強いファンにより味が復元され、「片原饅頭 前ばし万十屋」 として市内で販売が再開されました。
僕も何度か食べましたが、味は当時のままでした。
それもそのはずで、店主は志満屋で働いていた職人を探し出し、5年がかりで指導を仰ぎ、開店に漕ぎつけたといいます。
でも……
先週、惜しまれながらも閉店してしまいました。
理由は、またしても後継者不在です。
残念でなりません。
“前橋の味” 片原饅頭
どなたか、また、このソウルフードを復活させてください!
Posted by 小暮 淳 at 11:31│Comments(0)
│つれづれ