2021年06月11日
同級生が死んだ② ~45年ぶりの再会~
今年の1月から毎月、僕は友人らと群馬県伊勢崎市にある伊勢崎神社の境内で、紙芝居の口演を開催しています。
きっかけは、高校時代の友人が、定年退職を機に “ちんどん会社” を立ち上げたことにあります。
このコロナ禍で、多人数での興行ができなくなったため、友人は紙芝居による慰問や街頭での口演を始めました。
友人の出身が伊勢崎市で、会場となる伊勢崎神社の宮司も僕らと同級生だったこともあり、「神社かみしばい」 と銘打ったイベントを開始しました。
「どうせなら、地元の民話を題材にしたオリジナルの紙芝居を上演したい」
という友人からのたっての希望があり、僕が創作民話を書きました。
そんな縁もあり、毎月1回の口演日には、僕も会場に足を運んでいるのです。
いまは便利な世の中になりました。
ラインやらフェイスブックやらSNSの普及によって、情報が広く拡散されます。
僕と座長である友人が同級生ということもあり、うわさを聞きつけた高校時代の同級生が応援に駆けつけて来るようになりました。
でも、そのほとんどが高校卒業以来、一度も会っていない同級生ばかりです。
なんと、45年ぶり!
「えー、ジュン!? 変わっちまって分からねーよ! なんだよ、その頭 (白髪)」
「お前こそ、なんだよ、その頭 (ハゲ)」
とかなんとか、互いをディスりながらも、毎回、同級生との再会を楽しみに口演を続けています。
I 君も、そんな45年ぶりに再会した同級生の一人でした。
彼の実家が神社の近くということもあり、何度か開催日には顔を出してくれました。
ときに、菓子やパンなどの差し入れを持って……
同級生って、不思議ですね。
45年ぶりに会っても、一瞬にして、あの頃に戻ってしまうんです。
学校帰りに、彼の家に寄り、部屋でタバコを吸った話。
その時の銘柄は、「チェリー」 だったこと。
彼には美人のお姉さんがいて、ベランダに干してある洗濯物の下着が気になった話など、など……
でも、
「また来るよ」
の言葉が最後となってしまいました。
今週、突然、訃報が飛び込んで来ました。
「 I が死んだ!」
座長からでした。
「なんで? 病気だったの?」
「いや、突然死のようだ」
I 君の息子さんの話によれば、前夜はふつうに就寝したといいます。
朝、なかなか起きて来ないので寝室をのぞいてみると、布団の中で息絶えていたといいます。
そ、そ、そんなーーーーっ!!!!
僕は恐る恐る、昨日の地元紙をめくりました。
たぶん、ウソだよな。
誤報だよな。
なにかの間違いに決まっているさ。
でも、「おくやみ欄」 に彼の名前がありました。
享年62歳。
早過ぎる死です。
何よりも、突然過ぎます。
もし、僕が座長と再会していなかったら……
そして、一緒に紙芝居を作っていなかったら……
I 君と45年ぶりの再会をすることもなく、また彼の死を知ることもなかったのかもしれません。
もしかして I 君は、虫の知らせで、死ぬ前に同級生に会いたくなり、来てくれたのだろうか?
今月も20日に 「神社かみしばい」 を開催します。
彼の追悼の意も込めて。
いまはただただ、ご冥福をお祈りするばかりです。合掌
Posted by 小暮 淳 at 11:50│Comments(0)
│つれづれ