2022年07月31日
三途の選択
「三途の川」 といえば、死者があの世へ行くときに渡るといわれている川の名前です。
では、“三途” とは?
三途は、3つの渡河方法のことです。
善人は金銀七宝で造られた橋を渡り、軽罪人は山水瀬と呼ばれる浅瀬を渡り、重罪人は強深瀬または江深淵と呼ばれる難所を渡るとされています。
生前の行いが、死後の世界を分けるという仏教の教えに由来しているようであります。
最近、僕は、つくづく 「生前中にも三途の川があるのでは?」 と思うようになりました。
先日、いつもの居酒屋のカウンターで、酒を呑んでいた時のことです。
初めて同席した年配の男性に、話しかけられました。
「私は60年間、人生を無駄に過ごしました」
見た目、僕よりは人生の先輩のようであります。
そして聞けば、平凡ながら立派に定年の日まで勤め上げ、現在は悠々自適の生活を送っているといいます。
僕からすれば、順風満帆の人生を送っている、ごく普通の人に見えました。
ところが彼は、「人生をやり直したい」 とまで言い切ったのです。
もし僕も勤め人なら、今は定年退職し、第2の人生を送っていることでしょう。
ところが、どっこい問屋が卸しません。
貧乏ヒマなしのアウトロー生活が続いています。
まわりを見渡すと、同級生たちの人生も千差万別であります。
すっぱりと定年で会社を辞めて、以前からやりたかった新しい仕事を始めた人もいれば、そのまま再雇用の道を選んだ人もいます。
と思えば、前述の男性のように、悠々自適ながら 「自分は何をしたかったのか?」 「何をしたいのか?」 それが見つからずに、過去と現在の自分を完全に否定している人もいます。
まさに、“三途の選択” であります。
“還暦川” を渡るには、3つの選択を余儀なくされます。
① 現行維持
➁ 新たな人生
③ 余生
どの選択が一番幸せなのか?
それは、人それぞれです。
仕方なく①を続ける人、思い切って➁にチャレンジする人、のんびりと➂を過ごす人……
もちろん僕は、①の選択しかありませんでした。
でも救いは、他人に決められた渡河方法ではないということです。
自分で選んだ道だもの。
納得するまで、自力で泳いで渡りますよ!
Posted by 小暮 淳 at 11:50│Comments(0)
│つれづれ