2022年10月24日
A町の未来
隔世の感があります。
田畑は消え、音もにおいも変わりました。
僕が現在暮らしているのは、前橋市南部のA町。
27年前に、それまで暮らしていた中心市街地から引っ越してきました。
理由は、子育て環境です。
当時は、田畑が一面に広がる田園地帯。
家の周りには、牛舎や豚舎、鶏舎が残り、市内でありながらのどかな田舎を感じる環境だったのです。
本音を言えば、その分、土地の価格が安かったからなのですが、子どもたちをのびのびと育てる環境としては、申し分ありませんでした。
あれから27年。
子どもたちも育ち、社会人となり、家を出て行きました。
それと比例するように、我が家周辺の環境も様変わりしました。
いつのまにか、牛舎も豚舎も鶏舎もありません。
田畑だったところは分譲宅地となり、若い世代の新しい住民たち増えました。
「まさか、うちのムラにカフェができるとはなぁ~」
町内の行事で顔を合わせた長老が言いました。
(古くからの住民は、町のことを今でも “ムラ” といいます)
「あの一画だけ、田園調布だからな」
と言って、みんなで笑いました。
それほど様変わりしてしまったのです。
ここ数年は、ますます都市化に拍車がかかっています。
一番の原因は、数年前に移転して来た大型総合病院の存在です。
これにより周辺の田畑は消え、道路が整備され、次々とコンビニやスーパーが現れました。
渋滞緩和のためでしょうか?
その後も、周辺では幹線道路の拡張工事が続いていました。
そして、ついに先日!
こんな見出しを付けた記事が、新聞紙上に大きく掲載されました。
≪Fスーパー、Yデンキなど8店舗≫
≪前橋・AにSC≫
≪28日から順次開店≫
Aとは、僕の暮らすA町のことです。
そして、SCとは、ショッピングセンターのことです。
何もなかった町は、いま大騒ぎです。
もし、愛犬のマロが生きていたら、なんて言うんでしょうかね。
「ご主人様、ここは本当にA町なんですか? 散歩コースを変えましょう」
と、大きな道路と大きな建物に、おじけづくと思います。
いよいよ今週末、オープンです。
この町には似合わない喧騒が、やって来ます。
でも町民は内心、よろこんでいると思いますよ。
「便利になった」 と……
田舎者ですからね。
Posted by 小暮 淳 at 14:10│Comments(0)
│つれづれ