2023年03月26日
満開の桜の樹の下で
離れて暮らす長女から、メールが届きました。
2葉の写真が添付されていました。
1葉目には、満開の桜の樹の下で、少し緊張気味の少年が立っています。
ネクタイをして、胸には真っ赤なコサージュを付けています。
そして手には、青いファイルのようなものを持っています。
マウスをクリックして、拡大してみました。
“卒業証書”
うっかりしていました。
もう、そんなに大きくなったのですね。
決して忘れていたわけではないのですが、日々の雑多に追われ、今日という日を失念していました。
卒業式だったのですね。
長女は17年前、高校を卒業と同時に家を出て、数年後に結婚。
その後、男児を出産。
まだ乳飲み子だった頃は、実家にも頻繁に連れてきましたが、孫が成長するにしたがい顔を合わせるのは、盆と正月と冠婚葬祭の時ぐらいになってしまいました。
今年の正月は会えなかったので、最後に長女一家に会ったのは、いつだったのか……
2葉目の写真には、孫を挟んで長女夫婦が写っていました。
やはり同じ、満開の桜の樹の下です。
やっぱり僕も人の親なんですね。
中心に映っている孫よりも、娘に目が留まってしまいます。
あどけない目元は、僕の後ろを追って、ヨチヨチ歩きをしていた子どもの頃のままですが、そこに写っているのは、どこからどう見ても、立派に子どもを育てている自信に満ちた母親の顔でした。
婿の顔にも、見入ってしまいました。
初めて我が家に来て、「娘さんをください」 と言ったときの、ひ弱な青年とは似ても似つかない貫禄がありました。
父親の顔です。
K (孫の名)、卒業おめでとう!
いよいよ、来月からは中学生だね。
何部に入るのかな?
どんな将来の夢を抱くのかな?
何も力になってやれないダメ祖父だけど、陰ながらKの人生を応援しています。
長女のメールによれば、孫は声変わりもして、身長も娘をもうすぐ越すぐらいだといいます。
そして最後は、こう締めくくられていました。
≪じぃじと温泉に行きたいって、何年も言ってるから行ってあげてね≫
ふと、死んだオヤジの顔が浮かびました。
まだ元気だった頃、僕と息子と3人で温泉施設に行ったことがありました。
その時、息子に背中を洗ってもらっているオヤジが、「ああ、しあわせだ」 と何度も何度も言っていたことを……
時は、めぐっているんですね。
ついに、僕が孫に背中を洗ってもらう番が来たようです。
満開の桜の樹の下の3人が、ピカピカに輝いていて、ただただ愛おしくて、いつまでも写真を眺めていました。
Posted by 小暮 淳 at 13:26│Comments(0)
│つれづれ