2023年07月01日
昭和の片思い、令和の失恋
♪ 夕暮れの街角 のぞいた喫茶店
微笑み見つめ合う 見覚えある二人
あの娘が急になぜか きれいになったのは
あなたとこんなふうに 会ってるからなのね ♪
(「まちぶせ」 by 石川ひとみ)
この歌が流行った昭和の時代には、まだ “ストーカー” という言葉はありませんでした。
好きな人ができて、片思いを経験すれば、誰もが一度は “まちぶせ” をしたものです。
“まちぶせ” とは、恋の必須アイテムだったのです。
ところが、いつしか、「まちぶせ」 は 「つきまとい」 とみなされ、ストーキング行為になりました。
そして、ストーキング行為をする者を 「ストーカー」 と呼ぶようになりました。
いったい、いつからなんでしょうか?
「ストーカー」 という言葉が一般に使われるようになったのは?
1999年10月26日、白昼。
埼玉県のJR桶川駅前で、21歳の女子大生が何者かに刺殺されました。
執拗なストーカー行為を受け、それを警察に訴えていたにもかかわらず、起こってしまった悲劇でした。
俗にいう 「桶川ストーカー殺人事件」。
そのニュースは連日、テレビの報道番組やワイドショーで取り上げらせ、日本中に強烈な印象を残しました。
この事件がきっかけとなり、ストーカー規制法が施行されたことで、「ストーカー」 という言葉が知られるようにもなりました。
あれから24年、時代が令和に代わっても、一向にストーカーによる殺人事件はなくなりません。
またしても横浜市で、18歳の女子大生が元交際相手の男に刺殺されてしまいました。
度重なる警察への通報があったにも関わらずです。
法の無力さを感じます。
と同時に、失恋が殺人の引き金になっていることの理不尽さに憤ります。
なぜ、素直に失恋したことを認め、身を引くことができないのでしょうか?
今回の事件で、容疑者は犯行理由を、こう供述しています。
「よりを戻したかった」
えっ、おかしいだろう?
相手を殺してしまったら、よりなんて戻らないんだよ!
永遠の別れが待っているだけじゃないか!
と、誰もが考えられることが、容疑者の男には分からないのですね。
復縁=殺人
だなんて……
何よりも僕は、昭和の時代には愛情表現の一つだった 「まちぶせ」 が、平成から令和の世になり、ストーキング行為にされてしまったことが悲しいのです。
ご冥福をお祈りいたします。
Posted by 小暮 淳 at 12:36│Comments(0)
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