2023年08月11日
自由研究と少女
昨日の続きです。
講演会場で、もう一つのサプライズがありました。
講演終了後、著書を求める人が僕のまわりに集まりました。
販売したのは、『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)。
講演は、この本に書かれている話を中心に行いました。
「やっと買えました」
という人や、
「書店で見て知っていたのですが、今日直接、先生から買おうと我慢していました」
などという人もいて、サインするわずかな時間ですが、受講者との会話を楽しみました。
そんな中、小学生高学年くらいの女の子を連れた婦人がいました。
「2冊、いいですか?」
複数冊購入する人には、それなりの理由があります。
たとえば 「親しい友人にプレゼントするため」 とか、「1冊は読書用、もう1冊はコレクション用に」 なんていう人もいます。
「2冊も、ありがとうございます」
「ええ、1冊は私、もう1冊は、この子のです」
母親は、さらに言葉を続けました。
「先生のお話を聞いて、民話に興味を持ったみたいで、本を読みたいって言うんです」
「えっ、そうなの?」
僕は、女の子に話しかけました。
すると、その子は、こう言いました。
「はい、夏休みの自由研究にします」
長年、本を書いて、講演活動を続けていますが、小学生が僕の本を夏休みの自由研究に使おうという話は、初めてです。
驚くやら、照れるやら……
あまりのうれしさに、孫のような少女を抱きしめたくなってしまいました。
「本当? ありがとう! 群馬には面白い民話がたくさんあるからね。まず最初に、あなたが今住んでる所に伝わる民話から探してごらん。図書館で調べれば分かるから」
そう言って、僕は本を手渡しました。
「はい!」
と元気よく、少女は明るい笑顔で本を受け取ってくれました。
小さな出会いでしたが、僕にとっては新鮮で、今後の活動に大きな勇気と希望をもらいました。
またいつか、どこかで少女と再会する日が来ることを願っています。
Posted by 小暮 淳 at 11:58│Comments(0)
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