2024年05月13日
六十路の風景
90歳を過ぎたオフクロに、訊いたことがありました。
「人生って、長いんかい? 短いんかい?」
するとオフクロは、こう答えました。
「長いっていえば長いけどね、あっという間だった気もするよ」
気が付けば僕も、六十路を折り返してしまいました。
人生100年だとしても、残りの方が少なくなりました。
気力や体力のことを考えれば、人生の効率は今までよりも、かなり低下します。
今までのようには生きられません。
でも悲観しているわけではありません。
必ずしも 「気力と体力の低下=不幸」 ではありませんからね。
歳を重ねて良かったことも、たくさんあります。
何よりも “六十路歩き” は、気持ちがいい!
三十路よりも四十路よりも五十路よりも、道がなだらかで歩きやすい!
勾配も緩やかで、凹凸や起伏も穏やかで、何よりも視界が開け、景色がいいんです。
さらに、出会う人間がいい!
利害関係もないし、損得勘定もない。
気が合い、馬が合う人しか寄って来ません。
これが今の僕が見ている、六十路の風景です。
ある日、ふと、気づいたんですね。
「あっ、嫌いな人がいない」 って。
50代までは、気を遣ったり、苦手だったり、避けていた人たちが少なからず居ました。
でも還暦を過ぎてから、まるで霧が晴れるように、みんな居なくなってしまったんです。
気づいたら、好きな人たちだけに囲まれていました。
これって、年を重ねたからこそ見えた風景だと思うんですね。
当然ですが、人間関係がうまくいくと、ストレスもなくなります。
金もないけど、ストレスもない。
気力とか体力は減退したけど、精神のゆとりが生まれました。
あと数年ですが、今しか見ることのできない “六十路の風景” を楽しみたいと思います。
Posted by 小暮 淳 at 11:30│Comments(0)
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