2024年07月17日
薄荷と肉桂
毎度おなじみの呑み屋ネタで恐縮です。
会話の脈絡からママが、こんなことを言いました。
「そういえばさ、運動会のときに小学校の正門の前に、ハッカのパイプを売る店が出てたよね」
これに対して、「あった、あった!」 と声を上げたのは60歳以上の客でした。
「知らな~い」 と言ったのは、未満の客です。
そうそう、確かにありましたね。
ハッカパイプ!
縁日などでも見かけましたが、小学校の正門で買った記憶があります。
ソフトビニールでできたキャラクターが付いた細長い容器に、砂糖を入れてもらい、パイプのようにしてチューチューと吸いました。
その時の砂糖は、ただ甘いだけではなくハッカの味がしました。
中身を食べ終わった後は、そのまま容器が笛になって、ピーピーと鳴らしながら帰ったものです。
ハッカは 「薄荷」 と書きます。
今でいうミントのことなんですが、ちょっと違います。
ミントの品種ですが、日本自生の和種だそうです。
「そういえばさ、味紙なんていうのも駄菓子屋に売ってたよね」
と僕。
「あじがみ? 知らな~い」
とは、やはり還暦未満の客でした。
味紙とは?
わら半紙のような紙に、食紅で絵が描いてあって、それをちぎって口に入れると甘いのです。
味がなくなったらガムのようにクチャクチャになった紙を、ペッと吐き出すのです。
今思えば、毒々しい色で描かれていて、いかにも危なっかしいお菓子でした。
チクロやサッカリンなどの人工甘味料や知らない着色料が、いっぱい使われていたんでしょうね。
昭和40年代初頭のことです。
チクロもサッカリンも発がん性があるとして、その後、使用が禁止となりました。
「味紙」 とは、僕ら仲間内での呼び方です。
一般には、「ニッキ紙」 と呼ばれていたようですね。
そういえば甘さの中に、ニッキの香りがしたような……
ニッキは 「肉桂」 と書きます。
正しくは 「にっけい」 で、「にっき」 は音変化した呼称だそうです。
ニッキ飴、なんてありましたよね(今もありますね)。
京銘菓の 「八ツ橋」 なんかが、ニッキ味の代表菓子です。
今でいうシナモンのこと。
でも正確には、日本産の肉桂と呼ばれるクスノキ科の常緑樹を指すそうです。
もう、味紙には合えないかもしれませんが、ハッカパイプなら令和の縁日でも売ってそうですよね。
もし、出合ったら衝動買いをしてしまいそうです。
白髪ロン毛の初老の男が、キャラクターの付いたハッカパイプをピーピーと鳴らしながら歩いていたら、ヘンですかね?
Posted by 小暮 淳 at 11:57│Comments(0)
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