2011年05月27日
四万温泉 「長静館」
「いゃ~、これはハードな仕事ですねぇ」
と、僕と一緒に入浴していたデザイナーのクリちゃんが、しみじみと言いました。
分かってもらえたんですね。うれしいなぁ~!
とかく、温泉ライターだなんて聞くと 「うらやましいですねぇ、温泉に入るのが仕事だなんて」という輩が多いのですよ。
でも世の中、ラクな仕事なんて、ありませんから。
温泉ライターも、しかりです。
湯あたり、御免!
ということで、昨日も朝から、超ハードな入浴取材となりました。
午前9時、ゲートの開門を待って、四万温泉の共同湯「山口露天風呂」へ、浴衣姿でタオルを持って出かけました。
9時ジャスト! ゲート前の床屋のオヤジが、「はいはい、今開けますよ」とカギを持ってやって来ました。
冬場は凍結のためクローズしていますが、この時季は新緑が見事で、絵になるスポットです。
サササッと浴衣を脱いで、湯舟の中へ。
熱からず、ぬるからず、いい湯加減です。
カメラマン氏が、あっちへ行ったり、こっちへ来たり。
毎度のことですが、僕の股間が写らないようにと、苦労してくださっています。
山口露天風呂の撮影が終わるやいなや、次の現場へ。
一般客が入る午前10時までに、有料の日帰り入浴施設 「清流の湯」 での撮影を終えなくてはなりません。
一路、温泉口地区へ移動。
「清流の湯」では、四万温泉協会事務局長の田村悟志さんが、すでに待っていました。
「露天風呂の撮影は、無事終わりましたか? では、こちらへ」
と浴室へ通され、さっき浴衣から着替えたばかりの服を、またもや脱いで、脱兎のごとく湯舟の中へ。
あれれれっ、れー!
撮影をしている途中から、清掃が始まってしまいましたよ。
それも、やって来たのは、うら若き女性従業員です。
ま、撮影の邪魔にならなければ、どこで誰が何をしていてもかまわないのですが、こっちはスッポンポーンなのであります。
湯舟から出たり入ったり、浴槽を移動したり、その都度、チラッ、チラッと、おねえさんの視線が気になります。
ええっい!
こちとらプロの温泉ライターよ。
全裸が恥ずかしかったら、商売にならんのよ。
えーい! こうなったらプロの意地とやらを見せてやれ!
ホレホレーっと、フルチンのまま、掃除をしているおねえさんの前を堂々と通過してやりました。
(決して、セクハラなんかじゃありませんよ。あくまでもプロの意地です)
で、濡れた体に服を着たのもつかの間、すぐに移動です。
次は、温泉口地区にある「長静館(ちょうせいかん)」にて、料理と入浴シーンの撮影です。
「長静館」を訪ねるのは、3年ぶり。
前回は確か、JRの「小さな旅」の取材でした。
3代目女将の新井直美さんとも、久しぶりの再会です。
しっかり僕のことを覚えてくださいましたよ。
相変わらず、若くて可愛い女将さんであります。
歳の頃は、たぶん僕と変わらないはずなのに、実年齢よりは絶対10歳以上は若く見られるはずです。
初めて会ったときから僕は、ひと目でファンになってしまいました。
「長静館」の魅力は、女将の初々しさだけではありません。
とにかく“湯”に対する宿の姿勢がいいんですね。
「お湯が分かる人に来てほしいから」と、温泉宿に不必要な付加価値部分は、すべて排除した宿なんです。
だから館内も、とってもシンプルなつくりです。
新鮮な湯を源泉かけ流しで、充分に満足してもらえるためにと、客室を減らしました。
なのに、1人でも宿泊OKなんですよ。
もちろん、お湯は、同館所有の自家源泉です。
「つねに湯を最上の状態で、お客に提供したい」という女将の願いが、湯を通して、ちゃんと体に伝わってくるのが分かります。
掛け値なしで、四万温泉の中でも、ベスト5に入る湯守のいる宿ですぞ!
Posted by 小暮 淳 at 16:45│Comments(0)
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