2012年04月07日
八塩温泉 「神水館」③
桜の開花には、まだ早かったようです。
でも、満開の梅の花が出迎えてくれました。
昨日は、午後から八塩温泉の「神水館」へ取材に行ってきました。
「神水館」へは、もう何年も前から、雑誌や本の取材、温泉講座などで、たびたび訪れています。
今さら、見ることも聞くこともないと思われそうですが、いえいえ、とんでもない!
僕が温泉ライターになった理由が、今回の取材には、しっかりあるのです。
温泉の魅力は “湯” にあり、“歴史” にあり、そして “人” にあり
僕は、いつも取材をするときには、この言葉を自分に言い聞かせるように反芻(はんすう) しています。
と、いうことで、今回は “人” に会ってきました。
(「湯」と「歴史」については、当ブログの2010年4月8日「八塩温泉 神水館」、2011年12月20日「八塩温泉 神水館②」を参照)
お会いしたのは、4代目女将の貫井美砂子さんと、若女将の恵理香さんです。
自家源泉を所有する老舗旅館に生まれ育った女将と、そこの長男のもとへ嫁いできた若女将。
育った環境も、世代も異なる2人へ同時に話を聞くことにより、守り受け継がれる湯と歴史と文化の大切さを書いてみたいと思ったのであります。
同館の娘として育った女将にとっては、「旅館は家庭の延長」 だと言います。
しかし、嫁として5代目を受け継ぐ若女将にとっては 「湯と歴史を守らなくては」 という思いがひとしおです。
僕と若女将が話していると、何気に女将がかけた言葉が印象的でした。
「力まないで、自然でいいのよ」
すると若女将は、
「女将に会うのが目的で、泊まりに来るお客さんがいるんですよ。女将は私の手本です」
と言葉を返しました。
20年後、きっと同じ会話が、6代目若女将とされていることでしょうね。
とっても、素敵なことだと思いました。
「小暮さんは、温泉の記事なのに、必ず “人” が出てくるんですね?」
と、良く聞かれます。
ええ、結局、どんなに素晴らしい温泉でも、そこには必ず湯を守り、文化を築き、歴史を担ってきた “人” がいるからなんですね。
僕は、いい温泉に出合うと、その温泉を大切に守り続けている人に会いたくなってしまいます。
いい温泉には、いい湯守(ゆもり) がいる。
僕にとって、温泉を訪ねるということは、人に会うことなのです。
Posted by 小暮 淳 at 12:18│Comments(0)
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