2013年01月31日
榛名湖温泉 「ゆうすげ元湯」「レークサイドゆうすげ」②
これだから温泉は面白い!
飽きることが、ありません。
“現場百遍”
これが僕の取材における鉄則であります。
1回より2回、2回より3回・・・
訪ねれば訪ねるだけ、新しい発見があるものです。
今日、またしても、目からウロコの新発見に、心をときめかして参りました。
榛名山腹の榛名湖。
県内でも数少ない、天然湖のほとりに湧く温泉が榛名湖温泉です。
現在、2軒の宿泊施設があります。
「ゆうすげ元湯」 と 「レークサイドゆうすげ」。
現在は、どちらも同一会社が経営しています。
が……、それは平成になってからの話。
でも、この温泉。
昭和40年代から源泉がありながら、諸般の事情により、なかなか世に出なかった波乱万丈の幻温泉だったのです。
※(温泉の誕生秘話については、当ブログ2010年5月22日「榛名湖温泉 ゆうすげ元湯 レークサイドゆうすげ」を参照ください)
今日の榛名山は、雲ひとつない、どピーカンの青空が冴え渡っていました。
路肩に積雪はあるものの、湖畔を周遊する道路は通常走行が可。
湖面は全面凍結していて、それはそれは、美しい風景でありました。
「どうも、ご無沙汰しています」
と 「ゆうすげ元湯」 で出迎えてくださった中島美春社長と小野浩司支配人。
小野さんとは、2年半ぶりの再会です。
中島さんは、その後、僕の本の出版記念パーティーでお会いしていますが、それでも約2年ぶりです。
あいさつもそこそこに、通りを渡って、湖畔に建つ 「レークサイドゆうすげ」 へ。
お約束の入浴シーンの撮影を、先に済ませることにしました。
ここは内風呂しかありませんが、県内屈指のレイクビュースポットです。
湖側が全面ガラス窓で、入浴中の目線が湖面の高さにあるのです。
昔、“お魚になった私” なんていうテレビCMがありましたけど、気分はまさにワカサギです!(意味がよく分からないって?)
で、僕のお気に入りは、眺望だけではありません。
これぞ、“正しいかけ流し風呂” の模範のような浴槽こそ、イチ押し!であります。
浴槽の形は、やや左ドッグレッグに曲がっていますが、源泉の注ぐ 「湯口」 が奥、オーバーフローする 「湯尻」 が手前と、理想的な造りをしています。
そして、手前がぬるく、奥が熱い。
完璧であります。
これなら、あつ湯好きでも、ぬる湯好きでも、どちらの人でも入れます。
う~~~ん!極楽極楽・・・
仕事とはいえ、朝から極上の湯をいただいてしまって、申し訳ありましぇ~ん!
と、白銀の榛名湖を眺めつつ、至福の時間を満喫していました。
ところが・・・
んっ?
あれ?
何かが違う。
なんだ?
あっ、色がない!
そうです。僕が拙著 『群馬の小さな温泉』(上毛新聞社) の中で、<カーキ色の湯が湧く湖畔の湯治場>と形容した、白いタオルが生成り色に染まるほどの濃厚な褐色の湯が、なぜか今日は透明なのですよ。
さては、源泉が涸れたか、湧出量が極端に減少したため加水したか?
と、謎を解き明かそうと、あれやこれやと詮索していたのであります。
ところが!
浴室から出るやいなや、「レークサイドゆうすげ」 の富澤浩一支配人が僕を待ち構えていて、
「突然、震災以降、湯の色が消えたんですよ。ところが成分は、まったく変わっていません。不思議なんです」
と、開口一番。
おっと、それは、たまげた。
それより、僕に報告してくれた、その正直さに胸を打たれました。
いつぞやの、温泉に色をつけたという偽装問題を起こした某温泉地とは、大違いである。
温泉だもの、日によって、色も温度も異なるのが自然というものです。
これで、いいのです。
あるがままが、天然温泉の “あかし” であります。
と、と、ところがーーーーっ!
湯上がりに、「ゆうすげ元湯」 にもどって、中島社長と小野支配人とコーヒーを飲みながら雑談をしていたときです。
「そーなんですよ。レークサイドは色が消えたんですが、逆に湯元のほうは色が付いたんです。以前と、逆転してしまいました」
な、な、なんですとーーーっ!
2軒は同じ源泉から引湯しています。
もし、地震の影響で地下の湯脈に異変が起きたのだとすれば、両方とも色が消えるはず。
なのに以前は、ろ過していたために色がなかった 「ゆうすげ元湯」 の湯に、なぜ突然、色が付き出したのだろうか?
「我々も、理由がわかりません。本当に温泉って、不思議ですね」
と、中島社長。
と、いうことですから、みなさん!
榛名湖温泉に行ったら、両方の湯に入ってみましょうね。
(宿泊客は、どちらの浴室も利用できます)
Posted by 小暮 淳 at 19:31│Comments(0)
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