2013年11月13日
おじいさんといっしょ④
取材や出張などの出かける仕事がない限り、僕は実家を訪ねることにしています。
ふだんはアニキが面倒を看てくれていますが、それでも高齢の両親のことが心配なんですね。
それに、アニキが介護疲れや介護ノイローゼにならないためにも、時々は僕がバトンタッチをして両親の面倒をみています。
と、いっても、ほとんどがオヤジの面倒ですけど。
オフクロは病弱に加え、足が不自由なので一日中、部屋にこもりっぱなしです。
でもオヤジは、頭が不自由なだけで、足腰と口が達者なものですから毎日、時間を持て余しています。
ひいては、自分の思い通りにならないと、オフクロに八つ当たりをして、暴言を吐いたり、罵声を浴びせ、うっ憤を晴らしだすのです。
医者からは、
「なるべくお父さんとお母さんを一緒にしないように」
と注意を受けています。
オヤジが怒ることで、オフクロにストレスがたまり、命令に従おうとして無理をしてしまうからです。
だから僕がいるときは、できるだけオヤジを連れ出して、2人を引き離すようにしています。
今日は、オヤジを病院へ連れて行きました。
月に1度の定期健診日であります。
「よっ、じいさん! 元気かい?」
「ああ、元気だ」
「今日は医者へ連れていくからな。どこも悪いところはないんだろ?」
「・・・・・」
オヤジは、黙り込んでしまいました。
「どこか悪いところがあるんかい?」
と尋ねると、
「ばあちゃんに、“口が悪い” と言われる」
これには、大笑いです。
だから、言ってやりましたよ。
「自分でも、そう思うんかい?」
すると、
「ああ…」
と言って、悲しい顔をするのであります。
「自分で分かっているんなら、直しなよ」
と言えば、
「わかった」
と、その時だけは言うのですが・・・
すぐに、
「ババア、ババア! ババアじゃなければ、クソババアー!」
だなんて、大声を上げてオフクロを呼びつけるのであります。
まったくもって、これだから大正生まれのクソジジイには困ったもんです。
そんな元気過ぎるオヤジも、医者の前では借りてきたネコのように、シュンとしておとなしく健診を受けていました。
おい、じいさん!
あんまりオフクロをいじめると、毎日医者のいる病院に入れちまうからな!
Posted by 小暮 淳 at 22:19│Comments(0)
│つれづれ