2014年11月16日
通り魔の正体
先日、酒を飲んでの帰り道。
一人で、夜道を歩いているときのことでした。
繁華街を抜け、国道の大きな交差点。
信号が青に変わり、横断歩道を渡り出したときです。
「#○×☆△!」
突然、後方から大声が聞こえました。
振り返ると、何か叫びながら若い男が、僕を目がけて駆けて来ます。
ヤバイ! 通り魔かも!
瞬時に防御心が働き、反射的に僕も駆け出しました。
でも、その男はどこまでも追いかけて来ます。
「おとーさ~ん」
今度は、ハッキリと言葉が聞こえました。
おとうさん?
いったい、なんのことだ?
走るスピードをゆるめたときです。
「やっぱり、おとうさんじゃないか!」
振り返ると、そこにいたのは、息子でした。
僕の正真正銘の実の息子です。
「あー、ビックリした。なんだよ、おどかすなよ」
「だって、おとうさんこそ、逃げ出すんだもの」
「当たり前じゃないか。それよりなんで、お前がここにいるんだ?」
「バイトの帰りだよ」
聞けば、国道を車で走行中に、信号待ちをしている僕を見つけたのだといいます。
それで、車を信号の先に止めて、追いかけて来たとのことでした。
「家まで、歩いて帰るつもり? 乗っけていくよ」
とは、我が息子ながら、やさしい言葉である。
確かに、その場から我が家までは、5キロ以上の距離があります。
もちろん、酔った千鳥足で歩いて帰ろうなんて、思ってもいません。
「いや、今日はいいんだ。おばあちゃんちに泊まるから。お母さんも知っている。ありがとうな」
そう言うと、
「な~んだ、追いかけてきて損しちゃった。じゃあね!」
息子は手を振りながら、数十メートル先に止めてある車にもどって行きました。
「いい子じゃないか。父親を見かけて、わざわざ追いかけて来るなんて」
翌朝、オフクロに、しみじみと言われました。
言われてみれば、確かに冥利に尽きる話です。
ふだんは家に居ても、滅多に口を聞かない親子なんですけどね。
もしかしたら夜道を一人で歩いている父親が、よっぽど不憫に映ったのかもしれませんね。
大丈夫だぞ!
まだ、そんな歳ではないぞ!
でも、いつかは面倒を看てもらうかもしれないけど……。
その時は、よろしくたのむ!
あ・り・が・と・う
Posted by 小暮 淳 at 21:11│Comments(2)
│つれづれ
この記事へのコメント
追いかけられてドキドキしたでしょう。読者としては面白かったですが。いい息子さんですね。普段のお父様の優しさを見ているからなんでしょうね。
Posted by 優・寛の母さん at 2014年11月17日 19:11
優・寛の母さんへ
どうなんですかね。
父と息子というのは、実に照れくさいものです。
子育ての記憶も、小さかった時しか残っていないんですよね。
昔の写真を眺めては、「可愛かったなぁ」 とほくそ笑んでいます。
今では、僕のほうが見上げるくらい、大きくなりました。
どうなんですかね。
父と息子というのは、実に照れくさいものです。
子育ての記憶も、小さかった時しか残っていないんですよね。
昔の写真を眺めては、「可愛かったなぁ」 とほくそ笑んでいます。
今では、僕のほうが見上げるくらい、大きくなりました。
Posted by 小暮 淳
at 2014年11月18日 11:47
