2015年06月29日
そして父だった
今日は、仕事も介護もない、完全なる “オフ日” でした。
こんな日は、目覚まし時計をセットせず、ただひたすらに眠ることにしています。
目覚めたのは、午前10時。
久しぶりに、よく眠りました。
階下のリビングに下りていくと、息子がひとりでテレビを観ていました。
彼は、今年の春から会社勤めを始めた社会人1年生。
僕が反面教師になったようで、スーツに身を包む営業マンの職を選びました。
「おはよう」
「おはよう」
「今日は休みなのか?」
「ああ」
僕には3人の子どもがいます。
長女と次女は、100%僕のDNAを受け継いでいます。
顔や外見も似ていますが、考え方や趣味嗜好も似ていて、性格も明るくて社交性があります。
でも息子は、その真逆。
すべて家内似です。
真面目で、寡黙で、何をするにも慎重。
親への反抗期がなかったのも、息子だけです。
だからか、僕と息子は、ほとんど会話がありません。
それで長年、過ごしてきてしまいました。
「昼、いるのか?」
「ああ」
いつもなら、適当に僕がスパゲッティーや焼きそばを2人分作って食べるか、もしくは別行動をとるのですが・・・
今日は、違いました。
「昼メシ、どうする?」と訊くと、
「外食してもいいし」
「外食?」
「ああ、忙しくて “父の日” してなかったし」
「父の日?」
「昼飯、おごるよ」
もうダメです。
なんだか、全身がかゆくなってきましよ。
だって、想像ができませんって。
僕と息子が、レストランで、向かい合って食事をしている姿なんて!
「ま、それでもいいさ」
とだけ告げて、僕は自分の部屋にこもってしまいました。
そして、昼過ぎ。
「昼、どうするんだ?」
息子の気が変わっていないかと、半信半疑で問う僕。
「なに食べたいの?」
と息子に言われて、すぐに答えられる親なんていませんって。
「なんでもいいよ」
「なんでもいいじゃ、分からないよ」
「だったら、ラーメン」
「どこ?」
「どこって、お前のほうが知っているだろう。おいしいラーメン屋は」
「Gラーメンでいいかな?」
息子の車の助手席に乗って、向かったGラーメン。
もう、それだけで、僕は胸がいっぱいになってしまいました。
だってGラーメンは、彼が小さい頃、家族で良く食べに行ったラーメン屋だからです。
親子で行くなんて、10年以上ぶりです。
寡黙だと思っていても、それは彼の内の顔なんですね。
営業マンとして働き出した彼は、会社の様子や仕事の大変さを事細かに話してくれました。
考えてみたら今まで、こうやって2人だけで話す場を持たなかっただけなんですね。
昔、家族で食べたラーメンの味は、今も変わっていませんでした。
ただ、目の前にいる息子だけは、あの頃の泣き虫の息子ではありませんでした。
「ごちそうさま。ありがとう。おいしかったよ」
日々、両親の介護に明け暮れている僕には、常に “子ども” としての自覚はありましたが、今日は改めて “父親” なんだと認識しました。
30年後、僕ら親子は、どうなっているのでしょうか?
やっぱり、僕もオヤジみたいにボケてしまって、彼を困らせているのでしょうか?
Posted by 小暮 淳 at 22:25│Comments(4)
│つれづれ
この記事へのコメント
うわぁ…なんか、すごくジーンときました。
息子さん、真っ直ぐにお育ちになった(育てられた)んですね。
十数年後、うちの長男は息子さんのような素敵な青年になれているのか…
いや… かなり自信ないな…
息子さん、真っ直ぐにお育ちになった(育てられた)んですね。
十数年後、うちの長男は息子さんのような素敵な青年になれているのか…
いや… かなり自信ないな…
Posted by ぽんすけ at 2015年06月29日 23:56
ぽんすけさんへ
大丈夫ですよ。
子どもは親の背中を見て育ちますから。
もし、僕のように背中が曲がっていても、それが反面教師になり、子どもは勝手に自分で矯正してくれます。
大丈夫ですよ。
子どもは親の背中を見て育ちますから。
もし、僕のように背中が曲がっていても、それが反面教師になり、子どもは勝手に自分で矯正してくれます。
Posted by 小暮 淳
at 2015年06月30日 11:06

今回の息子さんとの関係、前回のお父様との関係。ステキ!うらやましいです。
Posted by 優・寛の母さん at 2015年06月30日 21:47
優・寛の母さんへ
どんな親子でも、この世で唯一無二の存在なんですね。
これだけは、選ぶことも、取り替えることもできません。
照れながら、気づかいながら、付き合って行くしかありません。
どんな親子でも、この世で唯一無二の存在なんですね。
これだけは、選ぶことも、取り替えることもできません。
照れながら、気づかいながら、付き合って行くしかありません。
Posted by 小暮 淳
at 2015年07月01日 12:22
