2016年06月08日
伊香保温泉 「森秋旅館」
♪ 青い目をしたお人形は
アメリカ生まれのセルロイド ♪
森秋旅館を訪ねるのは、今回で2度目になります。
確か7~8年前に、JR発行の小冊子の取材で来ました。
でも、あの時は日帰りでした。
今回は、ゆっくり泊まって、じっくり話を聞いてきました。
8代目女将の森田由江さんに出迎えられたロビーには、あの日と同じに童謡が流れています。
「青い目の人形」 「しゃぼん玉」 「赤い靴」 「七つの子」 「雨降りお月さん」 ……
誰もが子供の頃に聞いた、唄の数々。
これらの唄は、大正から昭和にかけて書かれた詩人、野口雨情の作品です。
雨情は、昭和3年と14年に群馬県を訪れ、そのたびに定宿にしていたのが森秋旅館でした。
「雨情さんは最初、県の依頼で 『上州小唄』 の制作のために泊まられました。ところが、なかなか仕事がはかどらず、予定よりだいぶ長く泊まられていたそうです。次に来られたときに、前回は迷惑をかけたからと、お詫びのしるしに当館のために書いた 『伊香保新小唄』 を残されていきました」
ロビーの片隅にある野口雨情コーナーには、雨情直筆の歌詞が書かれた大きな額が飾られています。
明治元年創業。150年の歴史を持つ、伊香保屈指の老舗旅館であります。
と、いうことは当然、湯は 「黄金(こがね) の湯」 ということになります。
温泉通の人は、ご存知だと思いますが、伊香保温泉には2種類の源泉が湧いています。
何百年と湧き続ける 「黄金の湯」 と呼ばれる茶褐色のにごり湯と、平成になってから使用している無色透明の 「白銀(しろがね) の湯」 です。
そして 「黄金の湯」 は、昔から湯権制度により湯の権利を持つ小間口権者(源泉所有者) である老舗旅館のみに分湯されてきました。
現在、9軒の所有者に、この伝統ある茶褐色の湯を使用する権利が与えられています。
森秋旅館は、その9軒のうちの1軒です。
「う~ん、極楽、極楽」
と、カメラ目線を忘れて、惚れ惚れするにごり湯に、思わずうなってしまいました。
「やっぱり、これぞ伊香保の湯ですな」
カメラマンの存在なんて、いざ知らず。
“湯の花まんじゅう”(伊香保では温泉まんじゅうのことを、そう呼びます) の皮のような茶褐色の湯の中で、存分に湯浴みを満喫しました。
特筆すべきは、良くできた浴槽の構造です。
内風呂も露天風呂も、ちゃんと湯口(注ぎ口) が奥にあり、湯尻(あふれる側) が手前にあります。
これもすべて、豊富な湯量を持つ小間口権者の宿ならではの特権であります。
ザバザバと惜しみなく、あふれ流れる湯に感謝しつつ、撮影の後は、お決まりの生ビールでカメラマンと乾杯をしました。
Posted by 小暮 淳 at 14:21│Comments(2)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
先日ツーリングで赤城温泉は湯之沢館に日帰り入浴♪
露天風呂で高崎から来た人と話しました!
伊香保は沸かし湯が多くなったと聞きましたが・・・
源泉に何かあったのでしょうか!?
露天風呂で高崎から来た人と話しました!
伊香保は沸かし湯が多くなったと聞きましたが・・・
源泉に何かあったのでしょうか!?
Posted by うえちゃん at 2016年06月09日 20:50
うえちゃんへ
伊香保温泉には2種類の源泉があることは、知っていると思います。
「白銀(しろがね)の湯」 の泉温は約15度ですから、当然、加温して使用しています。
問題は古来より湧く 「黄金(こがね)の湯」 です。
現在、各旅館が使用している総合泉の湯温は40~43度です。
微妙な温度なので、加温している宿が多いようです。
詳しいことは、もう少し時間をください。
追って調べて、ご報告します。
伊香保温泉には2種類の源泉があることは、知っていると思います。
「白銀(しろがね)の湯」 の泉温は約15度ですから、当然、加温して使用しています。
問題は古来より湧く 「黄金(こがね)の湯」 です。
現在、各旅館が使用している総合泉の湯温は40~43度です。
微妙な温度なので、加温している宿が多いようです。
詳しいことは、もう少し時間をください。
追って調べて、ご報告します。
Posted by 小暮 淳 at 2016年06月09日 21:48