2016年10月20日
四万百遍
♪ はるか昔 戦(いくさ) に疲れ ひとりの武士(おとこ) が
夜露に濡れる仮の宿で 夢見たものは
「四万(しまん) の病 癒やす泉をそなたに授けん」 と言う
童(わらべ) が立ちて 願いたくした 湯いずる国 湯源郷(とうげんきょう) ♪
『湯源郷』 より
2000年10月に開催された 『探四万展(さがしまてん)』 というイベントに、作家兼パネリストとして参加したのが四万温泉(群馬県吾妻郡中之条町) との仕事の出合いでした。
それ以前からプライベートでも出かけていましたから、かれこれ僕と四万温泉との付き合いは20年以上になります。
そんな縁もあり、僕は2011年に 『あなたにも教えたい四万温泉』(上毛新聞社) という本を上梓しました。
今回、またまた縁があり、中之条町から 「観光大使」 に任命されました。
その初仕事として、某紙より執筆依頼があったため、今日、久しぶりに四万温泉を訪ねてきました。
ま、著書では43本の源泉と37軒の宿と6つの外湯(共同湯) をすべて取材していますから、今さら取材することもないんですけどね。
やっぱ、そこは、ライターとしてのプライドが許しません!
“現場百遍”
取材は、し過ぎるということはないのです。
ということで四万温泉協会を訪ね、午前は事務局長および職員らと打ち合わせをし、午後はカメラマンと共に外湯および飲泉所をめぐりました。
取材とは、面白いものですね。
何十回、いや、たぶん百回以上は訪れているはずなのに、やはり新しい事実にめぐり合うものです。
たとえば、源泉の数は42本に、宿の数は36軒に、外湯は5つに変わっていました。
それに入浴と飲泉の結果、においや浴感、味までもが変化していました。
温泉は、生きているのですね。
やっぱり、“現場百遍” なのです。
でも変わらないものもあります。
自然の豊かさと人のやさしさです。
<四万には、コンビニがありません。四万には、信号機がありません。四万には、歓楽施設がありません。でもここには、青く澄んだ川の流れと、こんこんと湧き出す豊潤な温泉、そして何百年もの間、湯とともに暮らしてきた素朴な人たちが生きています>
『あなたにも教えたい四万温泉』 より
Posted by 小暮 淳 at 22:21│Comments(0)
│取材百景