2017年02月27日
ツィゴイネルワイゼンと青春の街
鈴木清順監督の訃報を聞いた日から、僕は頭の中で毎日、吉祥寺の町を歩いています。
といっても今の吉祥寺ではありません。
昭和55年(1980) の吉祥寺の街です。
当時、僕は22歳。
ミュージシャンになる夢を追いかけて、東京で暮らしていました。
ライブハウスや路上、レコード店や楽器店の店頭での人寄せライブ等に、夢中になっていた頃です。
彼女ですか?(誰も訊いてないって!)
もちろん、いましたよ。
1つ年下の大学生でした。
でも一般の女子大生とは、ちょっと変わった娘だったんです。
画家の卵でした。
週末のデートは決まって、吉祥寺。
なぜかというと、彼女が路上で絵を売っていたからなんです。
夕方、店じまいをする時刻を見計らって、僕は吉祥寺へ行きます。
「絵、売れた?」
「全然だめ」
「そうか、じゃあ、今日はオレのおごりだな」
「サンキュー!」
大きな画板を抱えた彼女と、吉祥寺の夜をあてもなくブラブラと歩きまわるのが、週末のお決まりでした。
その頃に上映されたのが鈴木清順監督の 『ツィゴイネルワイゼン』 でした。
上映場所は、映画館ではありません。
全国のデパートやオープンスペースに仮設ドームを造っての簡易シアターでの上映という、奇抜なスタイルでした。
吉祥寺のパルコ、といえば当時は若者の聖地。
パルコ主催のグラフィックアート展などには、足しげく通ったものです。
そのパルコの屋上に設置された特設会場で彼女と観た記憶が、訃報とともにフラッシュバックしたのであります。
原田芳雄、大楠道代、藤田敏八の3人が演じる摩訶不思議で妖艶な甘美の世界……
「清順美学」 と称された独得の映像美に酔いした夜でした。
あれから37年も経ったのですね。
吉祥寺の街も、ずいぶんと様変わりしたことでしょうね。
待ち合わせに使った 「くぐつ草」 という喫茶店は、いまもあるのでしょうか?
Posted by 小暮 淳 at 22:54│Comments(3)
│つれづれ
この記事へのコメント
くぐつ草、Googleで調べたらありましたよ。
見てみて下さい。
見てみて下さい。
Posted by 通りすがり at 2017年02月28日 05:25
こんばんワンこ!小暮先生が吉祥寺を徘徊?!されていた頃があること、、そうだったんですか・・・。くぐつ草は、あのほの暗い洞窟みたいな感じがとっても大好きで、20年以上前、大学時代に時折行っていました。懐かしく、こんど吉祥寺を訪れるときには、ぜひ再訪したいです。(吉祥寺は時々行っています)
先生のこの記事で、思いきり20代を思い出してしまった・・・。
通りすがりさんがおっしゃるとおり、いまだに健在と思います!(^^)/
訪問してみますね、変わっていないといいなあ~~。
先生のこの記事で、思いきり20代を思い出してしまった・・・。
通りすがりさんがおっしゃるとおり、いまだに健在と思います!(^^)/
訪問してみますね、変わっていないといいなあ~~。
Posted by ムク at 2017年02月28日 23:59
通りすがりさんへ
そーですか!
今でも、ありますか!!
ありがとうございます。
ムクさんへ
そうです。ほの暗い洞窟みたいな店です。
思わぬところに、ムクさんとの接点がありましたね。
10年ほど前に吉祥寺へ行ったとき、健在だったのは確認しましたが。
まだ、やっているんですね……。
青春が終わっていないような気持ちになりました。
そーですか!
今でも、ありますか!!
ありがとうございます。
ムクさんへ
そうです。ほの暗い洞窟みたいな店です。
思わぬところに、ムクさんとの接点がありましたね。
10年ほど前に吉祥寺へ行ったとき、健在だったのは確認しましたが。
まだ、やっているんですね……。
青春が終わっていないような気持ちになりました。
Posted by 小暮 淳 at 2017年03月01日 00:31