2018年01月13日
猪ノ田温泉 「久惠屋旅館」⑨
<何度、訪ねても飽きることがない、私の好きな風景である。
春先に訪ねたときは、庭一面のカタクリの花に迎えられた。秋に部屋の窓を覆い尽くす深紅のモミジ。そして今回は、オレンジ色の可憐な花をたわわに咲かせたキンモクセイの芳しい香りに包まれていた。>
これは2016年5月に出版した 『西上州の薬湯』(上毛新聞社) の猪ノ田(いのだ)温泉 「久惠屋旅館」(群馬県藤岡市) の記事の冒頭文章です。
取材をしたのは、前年の秋のこと。
それ以来ですから、2年3ヶ月ぶりに訪ねてきました。
この2年間で変わったこと、それは 「たまご湯」 と呼ばれた名薬湯を孤軍奮闘しながら復活させた先代主人が亡くなったことです。
「たくさんある温泉の中から、いつもうちを選んでくださり、ありがとうございます」
と、女将の深澤信子さんが出迎えてくれました。
「ご無沙汰して、申し訳ありませんでした。今日は取材ではありませんので、何も考えず、ゆっくり湯に浸からせていただきます」
あいさつの後、そそくさと仲間の待つ客間へと向かいました。
昨日は、僕が所属するフリーランスのクリエイター集団 「プロジェクトK」 の新年会でした。
今回は11人の気の置けないメンバーが出席。
誰もが、部屋の窓からの景色を眺めては、「いいところですね」 「前橋から、こんなに近いところに、こんな秘湯の宿があるなんて知りませんでした」 「本当に静かな森の中なので驚きました」 と口々に絶賛しています。
紅葉の季節も過ぎて、カタクリの花もキンモクセイの花も咲いていませんが、冬木立の森は、これはこれで水墨画のように美しいのであります。
眼下に望む猪ノ田川の渓流と、時おり枝葉を揺らして通り抜けていく風の音が、なんとも風雅なのであります。
一服したら、浴衣に着替えて、三々五々、浴室へ。
「みなさん、驚かれますよ。ここの湯はpH9.1 の強アルカリ性温泉です。その浴感を存分に楽しんでくださいね」
との僕の説明が終わらないうちから、
「おお、す、すごい!」
「湯が、トロトロだ~!」
「なんだ、こりゃ! 体をさするとヌルヌルだよ」
と、これまた口々に絶賛のお言葉をいただきました。
「今年もよろしくお願いしまーす!!」
新年のスタートを祝い、にぎやかな宴が始まりました。
いい湯、いい宿、いい仲間あり。
Posted by 小暮 淳 at 17:19│Comments(4)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
マロパパ先生
この猪ノ田温泉、まさに、先生のご本を見て、以前宿泊いたしましたなり!
女将さんがステキだった印象です。お湯もすばらしかったです。お花がきれいでした。生きものを大事にする温泉宿は、とっても心に残ります。
チェックアウトするときに、女将さんが、お花の説明をしてくださり、夫共々感激したのを思い出しました・・・・ほろり。
この猪ノ田温泉、まさに、先生のご本を見て、以前宿泊いたしましたなり!
女将さんがステキだった印象です。お湯もすばらしかったです。お花がきれいでした。生きものを大事にする温泉宿は、とっても心に残ります。
チェックアウトするときに、女将さんが、お花の説明をしてくださり、夫共々感激したのを思い出しました・・・・ほろり。
Posted by ムク at 2018年01月13日 22:57
ムクさんへ
猪ノ田温泉は、知る人ぞ知る西上州の秘湯です。
群馬県民でも、知っている人は少ないと思います。
なのに、東京都民のムクさんは、行ってくださったんですね!
ありがとうございます。
群馬には、まだまだ知られざる名薬湯がたくさんあります。
ぜひ、制覇してくださいませ!
猪ノ田温泉は、知る人ぞ知る西上州の秘湯です。
群馬県民でも、知っている人は少ないと思います。
なのに、東京都民のムクさんは、行ってくださったんですね!
ありがとうございます。
群馬には、まだまだ知られざる名薬湯がたくさんあります。
ぜひ、制覇してくださいませ!
Posted by 小暮 淳
at 2018年01月14日 16:10

猪ノ田温泉 「久惠屋旅館」は『西上州の薬湯』を拝読してから
ずっと泊まりたいと思っていた宿でした。
そして、念願がかない、今月3日に宿泊してきたばかりです。
お湯は正に絹のよう・・・なめらかで素晴らしく、
ゆっくりとくつろぐことができました。
宿の歴史を知ると、この名湯を守っているご主人、女将に
頭が下がります。
素晴らしい温泉に出会えたことに感動と感謝です。
ずっと泊まりたいと思っていた宿でした。
そして、念願がかない、今月3日に宿泊してきたばかりです。
お湯は正に絹のよう・・・なめらかで素晴らしく、
ゆっくりとくつろぐことができました。
宿の歴史を知ると、この名湯を守っているご主人、女将に
頭が下がります。
素晴らしい温泉に出会えたことに感動と感謝です。
Posted by mimi at 2018年01月15日 21:48
mimiさんへ
昔、「たまご湯」。
今は、「絹の湯」と呼ばれる名薬湯。
やっぱり、湯守のいる宿には、歴史と文化がありますね。
そして、必ずや湯神様が宿っていらっしゃる。
いい湯、いい宿に出合うと、本当に頭が下がります。
昔、「たまご湯」。
今は、「絹の湯」と呼ばれる名薬湯。
やっぱり、湯守のいる宿には、歴史と文化がありますね。
そして、必ずや湯神様が宿っていらっしゃる。
いい湯、いい宿に出合うと、本当に頭が下がります。
Posted by 小暮 淳
at 2018年01月16日 13:12
