2018年11月28日
尻焼温泉 「星ヶ岡山荘」
尻焼(しりやき)温泉ね、ああ、行ったことがあります。
川がそのまま風呂になっている温泉ですよね。
確か、何軒か宿があったと思うけど……
星ヶ岡山荘なんて、あったかしらん。
と思われた人もいるのではないでしょうか?
「星ヶ岡山荘」 は昨年の春にオープンした、尻焼温泉で一番新しい旅館です。
といっても以前は 「関晴館」 という老舗旅館でした。
尻焼温泉は旧六合(くに)村(中之条町) にある “六合五湯” の1つ。
中でも一番山奥にあるため、温泉地として開発されたのは昭和になってからでした。
温泉の発見は古く嘉永7年(1854) と伝わります。
村人たちが菅(すげ)や萱(かや) などを川底から湧き出す温泉に浸して、足で踏んでやわらかくして、草履(ぞうり)や筵(むしろ) を編むために利用していたといいます。
この作業は 「ねどふみ」(湯に寝かせて踏むの意味) といわれ、現在でも行われています。
手前の花敷(はなしき) 温泉が古くから開けていたのに比べ、この地の開発が遅れた理由は、花敷からの道が急峻だったことと、温泉周辺におびただしい数のヘビが棲息していて、人々を寄せ付けなかったからだといいます。
昭和元年(1926)、花敷温泉の老舗旅館 「関晴館」 の別館が、尻焼温泉に開業したのが温泉地としての歴史のはじまりでした。
のちに花敷温泉の本館が廃業したため、“別館” の名をはずして営業を続けていましたが、数年前に看板を下ろしてしまいました。
そして昨年、経営者が変わり、リニューアルオープンしたのが 「星ヶ岡山荘」 でした。
「いゃ~、見違えるほどにキレイになりましたね」
宿に着くなり、開口一番、僕はリニューアルされた館内を見渡しながら言いました。
「ありがとうございます。でも、浴室は前のままなんですよ」
と、和服姿で出迎えてくれた女将の大谷郁美さん。
「それが、いいんです!」
話には聞いていたので、僕はそれを確かめに来たのであります。
渓流、長笹沢川を望む露天風呂は、野趣に富んでいて、僕の大好きな露天風呂でした。
いえ、露天というよりは “野天” といったほうがしっくりくる、自然の中での湯浴みが堪能できる絶景風呂なのです。
湯屋への導線は、以前と変わっていません。
ただ内装は、昭和元年建築とは思えないほどに、新しくなっています。
そして、浴室のドアを開けると……
あの日、あの時に見た、同じ光景が出迎えてくれました。
「これ、これこれ、これじゃなくっちゃ!」
以前は、川を見下ろす露天風呂が男湯でしたが、今回は川辺に下りるほうが男湯でした。
ザザザザーーッ!!!
勢いよく、あふれ出る湯が川へと流れへ行きます。
なんて贅沢な光景なんでしょう。
加水なし、加温なし、で完全放流ができるなんて!
しかも、湯が冷めやすい露天風呂です。
源泉の温度と湯量に恵まれた温泉だからこそ味わえる贅沢なのであります。
「これでイイのだ!」
バカボンのパパなった気分で、川面を眺めながら至福の時を過ごしました。
Posted by 小暮 淳 at 11:59│Comments(2)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
先生、驚きました。。まだ「日本秘湯を守る会」会員宿を旅していた30代後半の頃に‥六合村「関晴館別館」さんに一泊お世話になりました。今は昔…寂しいですね。 でも引き継がれる人が現れた事に感謝です。まあ泊まるのは1万円以下が宿泊条件のナベちゃんなので無理ですが(笑)小暮先生、日帰り入浴は可能なのでしょうか? これからも沢山の温泉宿情報を宜しくです。有難うございました。
Posted by 水上のナベちゃん at 2018年11月28日 19:53
水上のナベちゃんへ
日帰り入浴、できますよ!
大人700円、12:30~16:30です。
休憩室では、コーヒーを無料で飲めます。
ぜひ、あの感動をもう一度!
日帰り入浴、できますよ!
大人700円、12:30~16:30です。
休憩室では、コーヒーを無料で飲めます。
ぜひ、あの感動をもう一度!
Posted by 小暮 淳
at 2018年11月28日 22:27
