2020年02月27日
いつも真実は闇の中
<この国のメディアはおかしい。ジャーナリズムが機能していない。>
始まって、わずか5分。
気がついたらスクリーンが涙で、ゆがんでいました。
「なんでだろう?」
自分でも分からないぐらい動揺しています。
熱い思いが胸の奥の方から湧き上がり、目頭を熱くしていたのです。
遅ればせながら映画 『i 新聞記者ドキュメント』 を観てきました。
主人公は、映画 『新聞記者』 の原案者としても話題を集めた、あの官邸記者会見で鋭い質問を投げかけることで有名な東京新聞社会部記者の望月衣塑子。
監督は、ゴーストライター騒動の渦中にあった佐村河内守を題材にした 『FAKE』 などで知られる映画監督で作家の森達也。
カメラは時に監督自身をも映しながら、ノートとペンとスマホを手にキャリーバッグを転がしながら全国を飛び回る記者を追い続けます。
辺野古埋立地、もりかけ問題、そして官邸記者会見の場へ……
真実は、どこへ?
政治家や官僚の圧力と忖度を追究する彼女は、時には仲間である新聞社という組織へも歯向かいます。
僕も同じ記事を書くライターですが、ジャーナリストではありません。
追いかけているテーマは温泉や民話や地酒などですから、世の中に無くても生活には支障のない娯楽性の高いものばかりです。
それでも 「真実を伝えたい」 というジャーナリズムのような感情は、いつも持ち合わせています。
だからでしょうか、数々の弊害や妨害にはばまれながらも、それに屈することなく全速力で駆けずり回る彼女の姿に、涙が流れました。
はて、タイトルに付いている 「i」 とは?
映画館を出てから考えました。
<あなたが右だろうが左だろうが関係ない。保守とリベラルも分けるつもりはない。メディアとジャーナリズムは、誰にとっても大切な存在であるはずだ。だから撮る。>
これは、新聞記者と映画監督のガチンコバトルなのです。
だから 「i」 は一人称の 「i」、「私自身」 のことではないかと?
組織の中の記者とフリーランスの映画監督が、巨大な国家と闘うドキュメントなのだと……
日本という国に暮らす、すべての人たちに問うテーマです。
ぜひ、観て、考えて、悩んでみてください。
Posted by 小暮 淳 at 18:07│Comments(0)
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