2020年08月01日
死を問うキリコ
<今度はだれを殺した?>
< 「安楽死」 といってくれ>
(ブラック・ジャック 『死への一時間』 より)
読者のみなさんは、覚えているでしょうか?
以前、医学の道を志した友人の話を書いたことを。
そのきっかけとなったのが、手塚治虫の漫画 「ブラック・ジャック」 でした。
(2019年12月8日 「B・J & Y」 参照)
ところが今、彼とは真逆の人生をたどった “医師” のニュースが、世間を騒がしています。
難病の筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の女性患者に頼まれて、薬物投与で殺害したとして逮捕された2人の医師です。
命を救うはずの医師が、なぜ金銭で嘱託殺人を請け請け負ってしまったのか?
容疑者の一人は過去に、こんな言葉を発信していました。
「ドクター・キリコになりたい」
ドクター・キリコとは、漫画 「ブラック・ジャック」 に登場するライバルで、患者の安楽死を金で請け負う医師です。
<おい! いいかげんにおまえさんのかってな判断で 病人を殺すのはやめろ>
<おまえも商売 こっちも これが商売だからね>
(中略)
<おれはな 苦しんで もがいて そして死にきれない患者を楽にしてやってるんだぜ むしろ感謝されているんだぜ>
まさに、容疑者はドクター・キリコにあこがれ、手口を真似ています。
対するブラック・ジャックは、キリコの安楽死を阻止しようと懸命に、医学の限りをつくします。
しかしキリコは漫画の中では、ブラック・ジャックに問われ、こんなことも言っています。
<殺すのと助けるのと気分はどっちがいい?>
<ふざけるな おれも医者のはしくれだ いのちが助かるにこしたことはないさ>
医者のはしくれにもおよばない、ただの殺人であります。
Posted by 小暮 淳 at 13:02│Comments(2)
│つれづれ
この記事へのコメント
同意します。
Posted by ごんちゃん at 2020年08月01日 22:44
ごんちゃんへ
ありがとうございます。
この事件の場合、安楽死問題と同列に考えるのは、違うと思います。
まして、1人は医師免許を持っていかったとも報じられていますし。
ただの殺人だと思います。
ありがとうございます。
この事件の場合、安楽死問題と同列に考えるのは、違うと思います。
まして、1人は医師免許を持っていかったとも報じられていますし。
ただの殺人だと思います。
Posted by 小暮 淳
at 2020年08月02日 11:38
