2021年01月18日
悪魔祓いの季節
トン、トン、トコトン、トン、トン、トコトン……
「悪魔っぱら~い! 悪魔っぱら~い!」
朝から町内に、太鼓の音と威勢のいい声が響き渡りました。
昨日は 「神楽廻し」 の日。
冬と夏、年2回行われます。
僕が暮らす前橋市南部の町には、上神様と下神様という2つの神社があり、氏子たちは 「年番」 という制度により、持ち回りで神の使いとなり、一年間、ご奉公します。
町内は11班に分かれ、僕の班は8戸が氏子に在籍しています。
各班1人ずつ、1年ごとに年番は移りますから、僕には8年に1度、そのお役目が回って来るわけです。
今年、僕は11人の選ばれし 「神の使い」 の1人になりました。
「神楽廻し」 とは、獅子頭を先頭に、家々をまわり、1年間の無病息災や家内安全をお祈りします。
獅子頭は体力が必要なため、毎回、若者の役割です。
僕も昔は、「ほれ、若い人が率先して廻さなくて、どうするんだ!」 なんて長老に言われて演じていましたが、これが、かなりの重労働なのです。
町内の約100戸を3~4時間かけて回るわけですから、夏の例祭では、脱水症状を起こして倒れる騒ぎになるくらいです。
8年前の前回、僕は五十路ということで、太鼓担当になりました。
一番、重要な役目です。
トン、トン、トコトン、トン、トン、トコトン……
いわば、この音が神楽がやって来る合図となります。
家に近づくにつれ、音が大きくなります。
「ほれ、そろそろ神楽が来るぞ!」
と氏子たちは、お布施を用意して、玄関先に出て、迎える準備をするのです。
「悪魔っぱら~い! 悪魔っぱら~い!」
最近は、玄関先で、獅子の口をパクパクさせるだけの簡易なものになりましたが、昔は、一軒一軒、家の中まで入り、各部屋すべてで神楽を廻したものでした。
寝たきりの年寄りがいれば、床まで行って、「悪魔っぱらい」 と言いながら、お祓いをしました。
で、今回は、僕も還暦を過ぎました。
ので、さらに労働力の少ない 「大麻(おおぬさ)」(大幣とも書く) の担当です。
大麻とは、よく神主さんが振っている 「紙垂(しで)」 と呼ばれるギザギザの白い紙が付いた棒です。
この棒を振りながら、町内を歩きました。
「悪魔っぱら~い! 悪魔っぱら~い!」
でも今年は、いつもの年と、かけ声が少し違います。
「コロナ退散!」
が加わりました。
次回の神楽廻しは、8月です。
その時は、いつもの年と同じかけ声であることを願うばかりであります。
Posted by 小暮 淳 at 12:14│Comments(0)
│つれづれ