2022年01月29日
冬の香
「三大香木」 って、知っていますか?
よい香りを漂わせる花の中で、特に強い香りがする樹木のことで、春のチンチョウゲ (沈丁花)、夏のクチナシ (梔子)、秋のキンモクセイ (金木犀) が、そう呼ばれています。
なぜ、冬の花は入っていないんでしょうか?
たぶん、“強い香り” が選考ポイントなんでしょうね。
この時季、強い香りを放つ花は、なかなか見かけません。
でも、“ほのかな香り” を漂わせる可憐な花ならあります。
ロウバイです。
真冬に黄色く小さな花を咲かせるロウバイの花言葉は 「慈愛」。
けな気に咲きながら、かすかに甘い香りを放つ姿から、そう意味づけられたんでしょうね。
ロウバイは、「蝋梅」 と書きます。
花の色や光沢が蜜蝋(みつろう)に似ているからとのこと。
江戸時代に中国から渡って来たため、別名 「唐梅(からうめ)」 とも呼ばれます。
英名は 「winter sweet」。
やはり、冬に咲く甘い香りなのですね。
僕がロウバイに出合ったのは、20年以上前のこと。
さる画家が描いた一枚の絵でした。
まるでキャンドルを灯したように暗闇の中で光る黄色い花……
それがロウバイの花だと知り、以来、冬になると散歩の途中でロウバイを探すようになりました。
でもキンモクセイのように強い芳香を放っているわけではありませんから、ただ歩いていては気づきません。
庭のある家を覗き込みながら、黄色い花を探します。
見つけた時は、迷子の仔猫を見つけたようで、抱きしめたい思いに駆られます。
まさに花言葉の 「慈愛」 を感じるひと時です。
今冬もロウバイの便りが届き始めました。
先日の新聞に、<藤岡市 (旧鬼石町) の桜山公園のロウバイが見頃を迎えている> との記事を見つけました。
ふだんは散歩の途中で見かける小さな庭木を愛でているだけです。
150本のロウバイが一斉に咲き誇る姿って、どんなんでしょうか?
想像しただけで、体の奥がボーっとほてってくるようです。
昨日の午後、車を出したついでに、ひとっ走り行って来ました。
見事です!
ただただ、息をのみなから可憐な黄色い花たちを見上げていました。
低い枝に咲く、一輪の花に顔を近づけると、ほのかに甘い香りがします。
その控えめな香りに、「三大香木」 に入れなかったわけを知りました。
西日を浴び、逆光で見るロウバイは、まさに画家が描いた絵のよう。
キャンドルの炎のように、山肌に浮かび上がりました。
※見頃は今月末まで。
Posted by 小暮 淳 at 11:26│Comments(0)
│つれづれ