2023年10月23日
老神温泉 「東秀館」②
旅館のパンフレットには、こう書かれています。
<老神温泉郷 穴原湯 東秀館>
なぜ、“温泉郷” なのでしょうか?
かつて、片品川沿いのこの地区には、3つの温泉地がありました。
老神(おいがみ)、大楊(おおよう)、穴原(あなばら)です。
老神は片品川の右岸、大楊と穴原は左岸にありました。
しかし、昭和10年(1935)年4月、3つの温泉地を統合して 「老神温泉郷」 として一本化し、老神温泉旅館組合を発足しました。
これにより従来の小さな湯治場から群馬を代表する温泉地の仲間入りをするようになりました。
今でも温泉街の入り口に立つ案内板には、「老神温泉郷」 と書かれています。
ですから正しくは、ここは温泉郷なのです。
いつしか “郷” が取れて、誰もが 「老神温泉」 と呼ぶようになりました。
片品川をはさんだ温泉街の対岸、ここ穴原地区には古くから湯が湧いていました。
東秀館の創業は、明治27(1894)年。
現在の老神温泉には明治時代に創業した老舗旅館が4軒ありました。
が、すでに2軒が廃業し、1軒は経営が交代しています。
直系の一族が経営している温泉旅館としては、老神温泉で最古の宿といえます。
今から130年前。
片品川対岸の 「穴原」 という集落が、大火に見舞われ、壊滅の危機に瀕してしまいました。
「どうにか、この村を残したい」 「元の村のように再建したい」 と、まわりの集落に助けを求めたところ、「大原」 に住む現主人の曽祖父が、穴原が所有していた源泉を買い上げて、村の危機を救ったといいます。
そのため、ここ東秀館だけは、昭和のはじめまで 「穴原温泉」 と呼ばれていました。
「これはこれは小暮さん、今日はお越しくださり、ありがとうございます」
湯から上がり、まだ体を拭いている時でした。
僕の来館を知った4代目主人の小林利之さんが、わざわざ脱衣所まであいさつに来てくださいました。
小林さんとは今年の5月、老神温泉の 「大蛇まつり」 で、お会いしたばかりです。
でも東秀館に泊まるのは、平成27(2015)年5月に出版した 『尾瀬の里湯』(上毛新聞社) の取材以来ですから8年ぶりになります。
「今日は、よろしくお願いいたします」
「では、後ほど」
浴衣に着替え、僕は仲間の待つ客室へもどりました。
仲間とは、県内外から集まった温泉ソムリエの資格を持つ温泉好きの面々です。
僕はゲストとして、呼ばれました。
夕食までは、まだ時間があります。
当然、湯上りのビールをいただくことになりました。
「カンパーイ!」
早くも温泉談議が始まりました。
まだまだ夜は長い。
窓からは紅葉が始まったばかりの山並みが見えます。
こうやって、住む土地も年代も違う人たちと呑み明かせる幸せ……
すべては、温泉が導いてくれた出合いです。
ただただ、温泉に感謝であります。
温泉ライターになって、良かった!
Posted by 小暮 淳 at 09:59│Comments(2)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
東秀館さん♨️気にはなりつつも
まだ未泊です(-_-;)
いよいよ明後日
楽しみなテレビが(*^_^*)
宣伝してもよろしいでしょうか?
まだ未泊です(-_-;)
いよいよ明後日
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Posted by みわっち at 2023年10月23日 12:38
みわっちさんへ
ぜひ一度、「穴原の湯」 をご堪能下さい。
フジテレビ 『ホンマでっか!?TV』 の出演について。
すでに番組ホームページ等で、予告編の告知がされています。
ぜひ、お願いします。
群馬の温泉の魅力をPRしてください!
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Posted by 小暮 淳
at 2023年10月23日 13:28
