2024年08月07日
K&Gの真夏休み ~至福の瞬間~
まさか、こんな未来が訪れるとは、夢にも見ていませんでした。
Kは中学2年生の男子。
僕の長女の息子です。
3年前までは、どこにでもいるような普通の祖父と孫の関係でした。
年に一度、正月に親に連れられて来て、新年のあいさつをするくらいです。
だから特別な孫との思い出もありません。
まあ、僕が忙しかったこともあり、娘家族との交流も紋切型。
冠婚葬祭で顔を合わせ、たまに食事を共にするくらいでした。
だから孫の成長は見て取れても、彼の人となりや趣味、好きなことなんて、知るよしもありません。
「じいちゃんらしいことをしてやれなくて、ゴメン」
娘と孫に会うたびに、そう、いつも後ろめたい気持ちでいました。
僕と孫の関係が一変したのは、3年前の冬でした。
僕が友人とともに月一回、街頭紙芝居を始めたことでした。
偶然にも会場は、娘一家が暮らす伊勢崎市。
初回の1月、Kは両親に連れられて会場にやって来ました。
「ねえ、ジイジ、また来てもいい?」
「おいで、今度は一人でも来れるだろう?」
「うん、そうする」
そんな会話が交わされて以降、彼は時々、自転車に乗って会場にやって来ました。
ある日のこと。
「僕のジイジは温泉ライターなのに、僕は温泉に行ったことがないんだ……」
ポツリと言ったKのさみしそうな目に、胸の奥がキューンと痛くなりました。
「よし、今度の夏休みに温泉へ行こう!」
「マジ? 連れてってくれるの?」
「ああ、KとG(ジー)の2人だけで行こう」
「やったー!」
ということで、僕はKとの約束を果たすため、先日、上牧温泉 (みなかみ町) へ行って来ました。
初めて入る大きな露天風呂に、興奮するK。
「ねえ、泳いでいい?」
「ダメだよ、人がいるだろ」
しばらくすると、他の浴客は湯舟から出て行きました。
「今ならいい?」
「……」
僕から 「いい」 とは言えません。
が、言葉ではなく、小さくうなずき、黙認しました。
「うわ~、チョー気持ちいい!」
Kは、北島康介のようなことを言っては、何度も湯にもぐります。
「おい、そのくらいにしな。人が来るよ」
と注意すると、
「ジイジもやってみれば? チョー気持ちいいよ」
チョー気持ちいいって?
そんなことはGだって知っているさ。
知っているけど、大人だし、立場やマナーもあるからしないだけなんだ。
だけど、カッパのように泳ぐKは、確かに気持ちよさそうである。
夏休みだし、今日は特別な日だから、ま、いっか!
と、恥も外聞もなく、65歳最後の真夏の大冒険と相成りました。
(明日、誕生日を迎えます)
「どう? ジイジ、気持ちいい?」
「ああ、チョー気持ちいい!」
そう言って、2人で大笑いしました。
洗い場にて。
「なあ、K」
「なに?」
「Gの背中、洗ってくれるか?」
「ああ、いいよ。タオル貸して」
ジーンと目頭が熱くなりました。
20数年前の思い出が、よみがえってきます。
僕と息子とオヤジの3人で、温泉に行ったことがありました。。
「ほれ、R(息子の名)、おじいちゃんの背中を洗ってやりな」
その時、オヤジが言った言葉が忘れられません。
「ああ、幸せだ。孫のいない人は、可愛そうだね」
今まさに僕は、その至福の瞬間を迎えています。
いいことも、悪いことも、無駄なことも、面倒くさいことも、長い人生にはいろんなことがあるけど、稀だけど、こうやって幸せを感じる瞬間も訪れるんですね。
K、ありがとう。
そして、Kを産んでくれた娘に感謝。
オヤジ、見ているかい?
やっと俺もオヤジの気持ちが分かる歳になったよ。
お盆に報告に行きます。
Posted by 小暮 淳 at 10:22│Comments(2)
│温泉雑話
この記事へのコメント
K君の夢叶いましたね~ 上牧温泉でしたか。どこなのか気になってました。
Gも真夏の大冒険とは(笑)
お誕生日おめでとうございます。
Gも真夏の大冒険とは(笑)
お誕生日おめでとうございます。
Posted by たけちゃん
at 2024年08月08日 07:10

たけちゃんへ
ありがとうございます。
65歳最後の真夏の大冒険、がんばりました!
今日からは66歳の大冒険にチャレンジします。
ありがとうございます。
65歳最後の真夏の大冒険、がんばりました!
今日からは66歳の大冒険にチャレンジします。
Posted by 小暮 淳
at 2024年08月08日 13:43
