2010年10月19日
島人たちの唄④ 「我は島の子 漁師の子」
「オレはなる!」
「う~ん、わからん」
「たぶん、なると思う」
港で釣りをする子供たちに、「漁師になるの?」と声をかけた。
3人の子供たちの返事は、“決定” “未定” “推定” に分かれた。
島の産業人口割合は、半分が漁業、4分の1がサービス業(旅館・民宿などの観光業)で占められている。
「コイツは魚のこと、めっちゃ詳しいぜっ」
そう言われた子は、将来の職業を決めている子だった。
「シロメをエサにして、クロダイを釣っているんだ」
そう言って、自慢げに竿を投げて見せた。
地元ではカタクチイワシの稚魚のことを「シロメ」という。3cmくらいのものを言い、シラス干し(ちりめんじゃこ)の原料となる。
これより大きくなると「カエリ」、成魚は「シシコ」と呼ばれる。
カタクチイワシは年に何回も産卵するため、漁期も長く、シラス漁は島の水揚げの半分以上を占める看板漁業となっている。
港を歩くと、この島の漁師の若さと活気に驚かされる。
茶髪にピアス、携帯電話を手にした都会の若者と変わらない格好で、ミニバイクにまたがり、狭い路地をかっ飛ばして行く光景に、何度も目を丸くした。
ただ、日に焼けた赤黒く照り光った肌が、海を相手に働いている漁師の姿だった。
日本の漁業は昭和一桁生まれの漁師たちが、ずーっと支えてきた。
現在、高齢化が加速して、漁師の数は全国的に急減している。
ところが篠島は、この30年間というもの、漁師の人数は変わることなく、一定の水準を維持している。
また、全国の「漁村の若さランキング」においても、13位。この数字は、九州や北海道を除いた本州ランキングでは、第2位の若さ(平均年齢)を誇っている。
島の子供たちは、一様に「海が好きだ」と答える。
“未定”の子も、“推定”の子も、「海が好きだから、島で暮らしたい」と言った。
この島では、クラスの男子の半分が漁師になるという。
Posted by 小暮 淳 at 17:48│Comments(0)
│島人たちの唄